はじめに
2010年9月12~17日の期間にアメリカネバダ州ブラックロック砂漠にて開催されたARLISS2010に関して報告します。 ARLISSは今年で11年目、12回目の開催となり、昨年度より始まった学生主体による運営は2年目を迎え、学生運営ならではの新たな取り組みとして、技術交流会やチャレンジコンペを実施しました。 ARLISS2010の参加チーム数は、昨年の日本、アメリカ、韓国のほかに、新たに、ノルウェー、フランスからの参加もあり、合計22チームとなり、ARLISS2010はより国際的な大会として認知されてきたと感じられる大会となりました。
1.大会日程
本年度は以下のようなスケジュールで大会は進められました。
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
---|---|---|---|---|---|
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
12:00~14:00 事前打ち合わせ 技術交流会@Bruno’s |
8:00~ 開会式 打ち上げ @BlackRock |
8:00~ 打ち上げ @BlackRock |
8:00~ 打ち上げ @BlackRock |
8:00~ 打ち上げ @BlackRock |
10:00~13:00 朝食MTG(結果報告会) @Bruno’s |
15:30~ 会場設営 @BlackRock |
21:30~ Night Launch @BlackRock |
20:00~ Night Launch @BlackRock |
14:00~16:30 チャレンジコンペ発表会 @Bruno’s |
2.大会詳細
本章では、ARLISS2010の流れを時系列に沿って示します。
■ 9月12日(日)
【事前打ち合わせ・技術交流会】
12時に日本からの全参加チームと、ノルウェー、韓国チームがBruno’s Country Club & Motel へと集合しました。 集合確認の後、事前に配布した資料に沿って打ち上げ順についての説明、各チーム使用する無線の周波数の確認、打上げ費、滞在費などの大会における諸注意の確認、および、安全管理について各種連絡方法の確認を行いました。
その後、今年の新たな取り組みの一つである技術交流会を行いました。 まず、各チーム英語でチーム紹介と、カンサットの説明を簡単に行い、その後ポスターセッション形式で、参加者が各チームを回って交流を図るといった形式で進められました。 例年、ARLISS期間中の各チームの交流が少ないといった意見が出てきていることから、より交流の場を設けるために行った技術交流会ですが、参加者同士積極的に意見交換をしている場も見られ、相互交流が図れたのではないかと感じています。
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(写真左:各チームによる缶サット紹介の様子 / 右:意見交換の様子)
【会場設営】
技術交流会終了後、全員砂漠の射点まで移動し、テントの設営、目標点の設置、および目標点のGPS座標の補足といった作業を行い、翌日以降の準備を無事終え、前日準備を終了しました。
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(写真左:テント設営の様子 / 右:目標点設置の様子)
■ 9月13日(月)~16日(木)
【開会式(13日)】
8時よりベースキャンプにて開会式が行われました。 AEROPAC代表であるKenさんより、AEROPAC側のメンバーの紹介、今年の取り組みのひとつである打上げのUstreamによるライブ中継の説明、および、Night Launchの日程発表をして頂きました。 昨年度、好評であったNight Launchは、今年は2回行って頂けるということでした。 また、創価大学の黒木先生よりご挨拶を頂き、学生運営側から簡単な諸注意を述べた後、開会式は終了しました。
開会式終了後、初日の午前の打ち上げを予定していたチームは打上げの準備へと取りかかりました。
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(開会式の様子)
【コンペの様子】
今年も4日間に渡り打ち上げを行いました。 初めの二日間(13、14日)は日中風が強く、なかなか打ち上げられない状況が続きましたが、後の二日間(15、16日)は、比較的風は穏やかであり、打上げには最良のコンディションとなりました。 今年は打ち上げ順を特に決めず、準備ができたチームから随時打上げていくという方式をとったため、いいコンディションになるまで打ち上げを待つチームが多く、AEROPAC側を待たせてしまうという場面が多々見られました。 来年以降は打ち上げ順に関して、ある程度の融通を利かせかつ、AEROPAC側をなるべく待たせるという状況を作らないといった改善が必要であるように感じました。 また、風の影響もあり、カンサットが遠くまで流されてしまうということも多く、捜索に時間がかかっているチームが目立ちました。
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(写真左:砂嵐の砂漠 / 右:快晴の砂漠)
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(写真左:Cansatをロケットに詰め込む様子 / 右:ロケット設置の様子)
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(写真左:代表的なCanSat(1) / 右:代表的なCanSat(2))
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(写真左:代表的なCanSat(3) / 右:代表的なCanSat(4))
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(写真左:代表的なCanSat(5) / 右:代表的なCanSat(7))
カムバックコンペの結果を表1に示します。 今年度のカムバックコンペでは東北大チームI2のローバは4mという素晴らしい記録で見事優勝しました。 しかしながら、各大学、制御履歴が取れていないといった状況が多く見られた点は、少し残念でありました。
また、今年度はARLISSに向けた新たな取り組みであるSPindleプロジェクトにおいて、Cansat開発にシステムズエンジニアリング、プロジェクトマネジメントの手法を取り入れ、効率的な開発および、ミッションの成功率の向上を目標として取り組んできました。 しかしながら、今年度のARLISSではミッション失敗という結果が目立ったことからも、SPindleプロジェクトおよび、ARLISS全体を通しての反省をしっかり行い、来年度以降に活かしていきたいと思います。
チーム名 | 一回目記録 | 二回目記録 |
---|---|---|
東北大学 Team I2 | 1650m(×) | 4m(○) |
東北大学 Team F2 | ― | ― |
首都大学東京 Ibis Works | 3270m(×) | 2580m(×) |
慶應義塾大学 Team Wolve’Z | 2360m(○) | 1600m(×) |
東京大学 Kids Town | ― | ― |
東京大学 TENRAI# | 2620m(×) | 4670m(×) |
東京理科大学 Coniglio | 2700(×) | 2200m(×) |
東京理科大学 falco | 3450m(×) | 1850m(×) |
電気通信大学 高玉研A | 切り離し失敗 | 切り離し失敗 |
電気通信大学 高玉研B | 3010m(×) | 3840m(×) |
創価大学 kuro-kids | 1590m(×) | 打上げ断念 |
大阪府立大学 SSSRC | 3365m(○) | 2766m(×) |
九州工業大学 KIT CanSat(フライバック) | 2480m(×) | 打上げ断念 |
九州工業大学 KIT CanSat(ローバ) | ― | ― |
九州工業大学 KINGS | 2330m(×) | 2500m(×) |
桐蔭高校 | ― | ― |
ハワイ大学 | 1000m(○) | ※ |
ニューハンプシャー高校 | ― | ― |
CLES-FACIL(フランス) | ※ | ※ |
ソウル大学 SNU CANSAT Team | 1180m(×) | 打上げ断念 |
Heimdal高校(ノルウェー) | ※ | ※ |
ジョージア工科大学 | ※ | 打上げ断念 |
カムバックコンペ順位 | ||
---|---|---|
1 | 東北大学 チームI2 | 4m |
2 | ハワイ大学 | 1000m |
3 | 慶應義塾大学 Wolve’Z | 2360m |
【Night Launch】
AEROPACのご好意によって、Night Launch が打ち上げ2日目と4日目の夜に実施されました。 満天の星空の中、まばゆい光を発しながら打上げられた色とりどりの電飾が施されたロケットは、夜空に映え、大変きれいに見られました。
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(写真左:Night Launchの機体 / 右:打ち上げの瞬間)
■ 9月17日(金)
【朝食ミーティング】
4日間の打ち上げ日程を終えて、成果報告を行う朝食ミーティングが10時よりBruno’s Country Club & Motel にて行われました。 一チーム3分程度のプレゼンにより、各チーム結果報告を行いました。その後、カムバックコンペに対して賞金を提供していただいているSchlumberger社からのビデオメッセージの放映、運営代表によるカムバックコンペの表彰、ARLISS2010の総括を行い、最後に中須賀先生より総評を頂き、朝食MTGは終了しました。
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(写真左:発表の様子 / 右:中須賀先生による総評)
【チャレンジコンペ発表会】
今年度はカムバックコンペのほかに、カンサットのミッションの新規性や、独自性をプレゼンによってアピールし、参加者による投票により評価するチャレンジコンペを実施しました。 朝食MTGが終わった後、場所をコミュニティーセンターに移し、プレゼン発表会を行いました。 まずは、今年、電通大と東北大により行われたローバGPSなしカムバックコンペの報告を永谷先生、服部先生にして頂いた後、各チームのプレゼンが行われました。 チャレンジコンペの結果を以下に示します。 優勝した大阪府立大学チームSSSRCは、全員学部生でありながら、カンサットの完成度、プレゼン力が参加者全員に高く評価されました。
チャレンジコンペ順位 | ||
---|---|---|
1 | 大阪府立大学 | 81ポイント |
2 | 東北大学 | 79ポイント |
3 | 首都大学東京 | 63ポイント |
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(チャレンジコンペ発表会後集合写真)
最後に、ARLISS2010に関わった全ての皆さん(AEROPACの方々、日本側の先生方、参加学生、サポートして下さった方々)にお礼を申し上げたいと思います。 特に、現地ではBeckyさん、中須賀先生、秋山先生、白坂先生、山浦先生、永谷先生、黒木先生には大変お世話になりました。 また、SPindle、技術レビュー、においては、坂本先生、神武先生、狼先生、UNISASの方々、高玉先生、佐原先生に大変お世話になりました。 本当にありがとうございました。
団体名 | 報告書 | 発表資料 |
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大阪府立大学 | ![]() |
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九州工業大学 北☆九州男 | ![]() |
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九州工業大学 KINGS | ![]() |
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九州工業大学 ロケット花火 | ![]() |
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慶應義塾大学 | ![]() |
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首都大学東京 | ![]() |
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創価大学 | ![]() |
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電気通信大学 | ![]() |
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東京大学 Kids Town | ![]() |
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東京大学 TENRAI♯ | ![]() |
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東京理科大学 Coniglio | ![]() |
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東京理科大学 falco | ![]() |
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東北大学 Team F2 | ![]() |
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東北大学 Team I2 | ![]() |
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