ハイブリッドロケット

UNISECの加盟団体が行っているロケット開発を紹介いたします。

北海道大学

北海道大学宇宙環境システム工学研究室では航空法を考慮し目標到達高度を250m以下とした,複数回の再使用が可能な小型ハイブリッドロケットGasCAMUIを開発し,簡易な打ち上げシステムを構築した.
GasCAMUIは,CAMUI(CAscaded Multistage Impinging-jet)方式を採用した小型ハイブリッドロケットである.CAMUI方式は,2つのポートを有する軸方向に短い円柱形の固体燃料ブロックを複数個縦列に並べ,互いに90度ずつ位相をずらして配置することで衝突噴流を生じさせる.この衝突噴流によって,固体燃料への入熱が増加する.また,ポート軸長が従来型ハイブリッドロケットよりも短いため境界層の発達が小さい.これらの要因によって,本方式は従来型ハイブリッドロケットよりも高い燃料後退速度を得ることができるためより大きい推力を得ることができる.GasCAMUIの開発は2008年度から始まっており,これまで年度内複数回打ち上げ,ロール角制御の実証,Bluetooth通信の実証などを行ってきた.今後は有翼機による滑空リターンを目標として開発を進める.

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Fig1. CAMUItype fuel for miniCAMUI

東北大学 From the Earth

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こんにちは!私たちは東北大学ロケット製作・打上サークル“FROM THE EARTH”,通称FTEです。
FTEでは2016年の能代宇宙イベントにて陸打上と海打上で、一本ずつハイブリッドロケットの発射を予定しており、現在鋭意製作中です!それではその二つのロケットを紹介していきたいと思います。
まず紹介するのは陸打上、その名も『Project雀』!!雀とは、FTEの陸打上実験で打ち上げるロケットの愛称です。日本で多く見られる鳥であり、ロケットを身近に感じてもらいたいという願いと、雀の好奇心旺盛さを反映したロケットを作りたいという思いを込めました。また、FTEが在籍する東北大学のある仙台市では「すずめ踊り」という祭りが有名です!この“雀”は「新しいことに果敢にチャレンジし、加えて製作・打ち上げを楽しむロケット」をコンセプトにしています。具体的には、

  1. ノーズ分離型の放出機構を今回初採用すること、
  2. 缶サットを搭載すること、に挑戦し、
  3. ロケットに宇宙飛行士(の人形)を載せて、楽しむ、

ワクワクの詰まったロケットです!
現在雀は、大まかな構造設計を終えて、製作が始まっており、ボディーチューブの試作やノーズコーンの製作に取り掛かっています。また、新しい放出機構についても実験に取り掛かろうとしています。
次に紹介するのは海打上、こちらは『Project FTE-05』!!
海で見かける鳥といえば、なんといっても鷗(カモメ)!その鷗がFTEの海打上ロケットの愛称です。“鷗”は高高度汎用機体を目指しています。汎用性があり、高高度にするために無駄を省く設計にこだわっています。陸打上の雀に比べるととってもシンプルだけど、その分奥深い、そんなロケットです。現在鷗も、雀と同様に設計が完了し、製作に取り掛かっています。そしてこの機会に新しい製作の方法も開発しています。
以上が現在能代宇宙イベントに向けて製作中のハイブリッドロケット、雀と鷗の紹介でした!これからも、打ち上げへの熱い気持ちを製作にこめて、完成へ向かって取り組んでいきます!

東京科学大学ロケットサークル CREATE

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CREATEは主に年2回の伊豆大島共同打上実験と8月能代宇宙イベントに向けて、ロケット製作・運用技術の獲得と向上に励んでいます。また、CREATEのロケットは、軽くて強いCFRPと電波を通すGFRPそれぞれの特徴を生かした併用構造を採用しており、CFRPの胴体部やノーズコーンなどは自作しています。他にもSABという汎用基板を製作したりロケットに小型カメラや缶サットを搭載したり、現在も新しいことに挑戦中です。

筑波大学 STEP

筑波大学宇宙技術プロジェクト(STEP)は、ハイブリッドロケットやCanSatの製作をおこなっています。
製作したロケットは、毎年夏に能代宇宙イベントで打ち上げています。
写真は、2015年度のハイブリッドロケット(TSUKUBA-STEP11)と、その打ち上げ準備を行っている様子です。

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東海大学チャレンジセンター 学生ロケットプロジェクト(TSRP)

東海大学チャレンジセンターに所属する東海大学公認の学生団体です.
観測ロケットや小型衛星打上げに使用できる独自のロケットシステムの構築を目標に学生自らの手でハイブリッドロケットの設計,製造,打上げ,解析を行っています.
2016年時点では,中期目標を高度10kmに到達するハイブリッドロケットの開発と定めており,ハイブリッドロケットエンジンの大推力化及び長秒時燃焼化,機体構造効率の改善,超音速に対応した空力設計技術の確立に力を入れています.

H42号機想像図
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tsrp_THR-X210L

九州大学 PLANET-Q

九州大学PLANET-Qでは将来、本格的な宇宙開発に参入するためこれまで様々なハイブリットロケットを開発してきました。ここでいくつか紹介したいと思います。

Felix-zero

九州大学PLANET-Qが開発したロケットで、2015年3月に伊豆大島共同打ち上げ実験で打ち上げたロケットです。到達高度は高度3160mでした。
Felix-zeroは推力の大きなエンジンを搭載し、それに見合う強度を持った機体を開発することでより高い高度に到達することを目的としたロケットです。

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打ち合がるFelix-zero
Felix-zero機体概要

本格的な宇宙開発を行うためにはまずは宇宙にロケットを到達させる必要があります。しかし、そのために必要なのは強いエンジンの搭載だけではありません。打ち上げに必要な様々な技術を獲得するため、他にも様々なロケットを開発しています。

Kilo-J

高度を稼ぐためには機体の軽量化は有効な手段です。このロケットはその点において非常に優秀で、機体重量のほとんどをエンジンが占めています。これを実現するためにパラシュートの分離機構には今までにない新しいものが使用されました。

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Kilo-Jの分離機構

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roll-Jは主に飛翔中の機体の姿勢制御及び機体の回収技術の確立のため、開発されたものです。
機体内には飛翔中に水を勢いよく噴出することで機体が回転しないようにするロール制御の機構が組み込まれています。
またパラシュートによる落下分散を小さくするためのリーフィングの機構も載せています。

roll-J

秋田大学 学生宇宙プロジェクトASSP

ASSPは今年2016年3月に秋田県能代市浅内第三堆積場で二機のハイブリッドロケット打ち上げ実験を行いました.HyperTEK社のI型ハイブリッドロケットエンジンで,分離機構は二つ搭載されており,上空で二つに切り離される仕組みになっています.打ち上げ実験の目的は二つあり,一つ目は分離機構の実証実験・信頼性の向上,二つ目は後の高高度化にむけて二段階での分離・パラシュート展開を経て安全な着地・回収をすることでした.打ち上げ実験の結果は,打ち上げは成功,一段目分離機構の分離はシミュレーション値よりも少し遅れて達成してパラシュートが開傘,二段目分離機構の分離動作はシミュレーション値よりも遅れて着地とほぼ同時に行われたことから機構が減速できずに地面に衝突しました.

この3月の実験から解析・反省を踏まえ,今年2016年8月の打ち上げ実験では,信頼性を高めた分離機構を二つ搭載し,HyperTEK社のL型ハイブリッドロケットエンジンを用いて海打ち実験を行う予定で,今現在(2016.6.17)製作中です.

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神奈川大学 高野研究室/宇宙ロケット部

われわれ神奈川大学高野研究室/宇宙ロケット部は、ハイブリッドロケットの到達高度の向上及び確実なデータ回収のため、昨年の機体を基に新規の二段階分離及び自作の新型エンジンを実装した新型ハイブリッドロケットを製作しています。

昨年のロケット

昨年度打ち上げたハイブリッドロケットは、打ち上げには成功したものの分離機構が作動せず、弾道落下をしたため機体が大きく破損し、データの回収ができませんでした。

昨年度のハイブリッドロケット
新型エンジン燃焼試験の様子

自作エンジン

昨年のハイブリッドロケットで使用したHyperTEK L型エンジンでは到達高度に限界があり、今後到達高度をさらに伸ばすため、今年は自作エンジンの搭載を予定しており、実装するためエンジン、インジェクターベル、グレインなどを作成し燃焼試験を行いデータを収集しています。

新型分離機構の作動実験

昨年のハイブリッドロケットの分離機構は作動せず、データの回収ができませんでした。そのため今年はデータ回収の確実性を向上させるために新しい分離機構を実装する予定です。現在は新型分離機構の試作をし、作動実験をしています。

分離機構作動実験
CFRPの巻きつけ

機体胴体の製作

設計が定まった機体胴体部については製作段階です。CFRPを巻きつけて電気炉で焼き胴体を製作しています。