ARLISS 2009

2009-01-01

文責:慶應大 小林雄太

2009年9月13日~18日にかけて開催された,ARLISS2009に関して,報告致します. 10th anniversary(第11回目)を迎える今回は,過去10回の中須賀先生の運営を引き継ぎ,初めて学生が運営するイベントとなり,日本,アメリカ,韓国より20チーム以上が参加する大きな大会となりました.

集合写真
(写真:集合写真)

1.全体スケジュール

以下に本年度のARLISSの日程を示します.

ARLIS2009日程
13th Sep. AM
PM 前日ミーティング(15時ブルーノ集合)
14th Sep. AM 開会式(8時~)
打ち上げ
PM
15th Sep. AM 打ち上げ
PM
Night Flight(20時~)
16th Sep. AM 打ち上げ
PM
17th Sep. AM 打ち上げ
PM
18th Sep. AM 朝食ミーティング(9時~)
PM

2.大会詳細

本章では,ARLISS2009の流れを時系列に沿って示します.

◆9月13日(日)‐打ち上げ前日‐

【事前打ち合わせ@Blackrock】

学生運営代表3名は,AEROPAC側のベッキーさんとテントの設営や開会式,現地での打上げ費・滞在費の支払い方法等について,事前打ち合わせを行いました. テントの数,椅子の数いずれも昨年よりも大幅に増やして頂き,ベッキーさんには心より感謝しています. また,毎年きれいに保管していただいている日本国旗を受け取り,一昨年・昨年の目標点の中間地点を目安に本年度の目標点を設定しました.

目標点設置作業
(写真:目標点設置作業)

【Bruno’s Country Club & Motel集合】

現地時間15時,日本側の全参加団体が,Bruno’s Country Club & Motelへ集合しました. 集合状況の確認後,各団体代表者に本年度のベースキャンプのGPS座標を伝え,全団体で列を成して砂漠へと移動しました.

ブルーノでの集合 砂漠への移動
(写真左:ブルーノでの集合 右:砂漠への移動)

【前日ミーティング】

砂漠に到着後,参加者全員でテントの設営を行いました. その後,テントの前に集合し,前日ミーティングを行いました. 前日ミーティングでは,日程の確認,打上げフローの確認,打上げ費・滞在費の支払い方法,安全マニュアルに基づく各種連絡方法の確認,制御履歴の提出方法,等の連絡を行い,各団体からの質問も受け付け,全参加者に共通の認識を持ってもらいました.

続いて,翌日以降の打ち上げ順の決定,目標点GPS座標の補足といった作業を行い,前日ミーティングは終了しました.

テント設営作業 前日ミーティングの様子
(写真左:テント設営作業 右:前日ミーティングの様子)
運営代表による説明 目標点GPS座標の補足
(写真左:運営代表による説明 右:目標点GPS座標の補足)

◆9月14日(月)~17日(木)-打ち上げ-

【開会式(14日)】

8時より,ベースキャンプにて開会式が行われました. 本年度より導入された砂漠での無線ラン,インターネットを利用したライブ中継など,AEROPAC代表であるKenさんから次々とチャレンジングなお話を頂き,日本側からも創価大学の黒木先生からご挨拶を頂きました. その後,ベッキーさんより諸注意を頂き,お土産の贈呈,集合写真の撮影を行い,開会式は終了しました.

開会式終了後,各団体は参加登録を本部テントにて行い,それぞれの打ち上げに向けた準備を始めました.

開会式の様子(1) 開会式の様子(2)
(写真左:開会式の様子(1) 右:開会式の様子(2))
Kenさんからのご挨拶 黒木先生のご挨拶
(写真左:Kenさんからのご挨拶 右:黒木先生のご挨拶)
参加登録の様子
(写真:参加登録の様子)

【コンペの様子】

本年度を含めて11回の歴史を持つARLISSですが,今年のコンディションは史上最高であったとAEROPAC側の人や日本側の先生が声を揃えて仰っていたように,4日間の打ち上げ日全てにおいて,朝から晩まで強い風が吹くことも砂嵐が来ることも一切無く,晴天が続きました. AEROPAC側のロケットの準備も非常にスムーズに進み,日本側のCanSatの準備を待ってもらうという場面が多々見られました. ロケット側の素晴らしい準備には本当に感謝しています.

運営代表の作業の様子 本年度スコアボード
(写真左:運営代表の作業の様子 右:本年度スコアボード)
天候に恵まれたブラックロック 射場にセットされたロケット
(写真左:天候に恵まれたブラックロック 右:射場にセットされたロケット)
ロケットマンの作業の様子(1) ロケットマンの作業の様子(2)
(写真左:ロケットマンの作業の様子(1) 右:ロケットマンの作業の様子(2))
ロケットの射場への移動 ARLISS用ロケットエンジン
(写真左:ロケットの射場への移動 右:ARLISS用ロケットエンジン)
射場での集合写真 カウントダウン
(写真左:射場での集合写真 右:カウントダウン)
ロケット打上げの様子(1) ロケット打上げの様子(2)
(写真左:ロケット打上げの様子(1) 右:ロケット打上げの様子(2))
代表的なCanSat(1) 代表的なCanSat(2)
(写真左:代表的なCanSat(1) 右:代表的なCanSat(2))
代表的なCanSat(3) 代表的なCanSat(4)
(写真左:代表的なCanSat(3) 右:代表的なCanSat(4))
代表的なCanSat(5) 代表的なCanSat(6)
(写真左:代表的なCanSat(5) 右:代表的なCanSat(6))

各大学のミッションに関しては,履歴が取れないといった状況が数多く見られ,素晴らしいコンディションに見合った成果が十分に得られなかったのは少し残念でした. カムバックコンペ,ミッションコンペの結果および全団体の打ち上げ結果を以下に示します.

(表:カムバックコンペの結果)
Comeback Competition
1 810m The Unicersity of Electro-Communications
2 844m Kyushu University
3 1470m Seoul National University

 

(表:ミッションコンペの結果)
Mission Competition
1 33 Kyushu University
2 31.6 The University of Electro-Communications
3 15.6 Tohoku University
3 15.6 Tokyo Institute of Technology B

 

(表:全参加団体の結果)
No. チーム名 重量 ミッション 結果 総得点 備考
一回目 二回目 一回目 二回目
1 武雄高校 480g 動画撮影 成功 成功 ※コンペ不参加
(落下点2041m×) (落下点369m×)
2 電気通信大学 1050g カムバック 1300m(×) 810m(○) 3.5 31.6
0 17.8
二段パラシュート ミニマム アドバンスト
3.5 13.8
轍対策に特化した自律制御
0 0
3 東京科学大学
松永研究室
1020g 指向撮影 ミニマム 0 4.3
0 4.3
パノラマ撮影
0 0
4 香川大学 320g カムバック 2283m(○) 1572m(×) 5.9 0
4.1 0
放出検知ミッション ミニマム
1.8 0
5 九州工業大学
Kings-P
930g カムバック 1720m(×) 1340m(×) 0 0
0 0
6 九州大学 780g カムバック 502m(×) 844m(○) 3.1 33
0 17.2
ローバー機構の導入 ミドル
0 8.9
動画撮影 ミニマム ミドル
3.1 6.9
7 東京科学大学
Bチーム
1010g パラシュートでの速度制御 フル 0 15.6
0 15.6
さまざまなモジュールを用いた
高度測定
0 0
8 東北大学 1050g カムバック 1910m(○) 15.6 3.7
5.9 0
展開による車輪径の拡大 フル ミニマム
9.7 3.7
サンプルリターン
0 0
9 日本大学 1040g 動画のダウンリンク
パラシュート展開の動画撮影
10 秋田大学 340g,
330g,
340g
Cansatの動作解析ミッション アドバンスト フル 14.1 11.3
14.1 11.3
11 創価大学 620g カムバック 1600m(×) 0 0
0 0
訂正符号を用いた通信
0 0
12 東京理科大学 1020g 画像のリアルタイム伝送 回収成功 回収成功 ※コンペ不参加
13 慶應義塾大学 610g カムバック 4187m(○) 301m(×) 0.7 9.6
0.7 0
カメラミッション ミドル
0 9.6
軟着陸ミッション
0 0
14 九州工業大学
Kings-F
540g カムバック 2560m(×) 0
0
15 東京科学大学
動設計学研究室
960g Cansat開発ミッション 回収成功 回収成功 ※コンペ不参加
開発マネジメントミッション
16 ソウル大学 1020g カムバック 1470m(○) 3800m(×) ※カムバックのみ
17 ジョージア工科大学 カムバック 1139m(×) 2215m(×) ※カムバックのみ
18 ハワイ大学 カムバック 984m(×) 3200m(×) ※カムバックのみ
19 スタンフォード大学 ※コンペ不参加
20 ニューハンプシャー
高校
※コンペ不参加

 

【Night Flight(15日)】

本年度は,AEROPAC側のご好意によって,Night Flightが実施されました. 打上げ2日目の20時より計5機ほどのロケットが夜空に打上げられました. 晴天に恵まれたブラックロックの夜空には,今まで生きてきた中で一番多いと言っても過言ではない,満天の星空が広がっており,Night Flightに参加した誰もが,この壮大さを一生忘れることはないと思います.

ブラックロックの夜空(1) ブラックロックの夜空(2)
(写真左:ブラックロックの夜空(1) 右:ブラックロックの夜空(2))
Night Flightの様子
(写真:Night Flightの様子)

【打上げ実績】

  • 14日
    武雄高校,電通大,東京科学大学松永研,香川大,九工大Kings-P,九州大,東京科学大学B,日大,東京理科大,慶應大
  • 15日
    武雄高校,東京科学大学動設計,東京科学大学B,九州大,創価大,香川大,九工大Kings-F
  • 16日
    日大,電通大,九工大Kings-P,東北大(2回),東京理科大,慶應大,東京科学大学松永研,秋田大
  • 17日
    電通大(3回目),慶應大(3回目),東京科学大学動設計,東京科学大学松永研(3回目),創価大,秋田大,ソウル大(2回),ジョージア工科大(2回),ハワイ大(2回)
◆9月18日(金)-朝食ミーティング-

4日間の打上げ日程を終えて,成果報告を行う朝食ミーティングが9時より行われました. AEROPAC側からの今年度の新たな取り組み,来年以降の更なるチャレンジに関する報告後,学会等の日程により出発の早かったハワイ大学,ニューハンプシャー高校の発表を最初に行い,その後は打上げ順に沿って,全団体が5分程のプレゼンを行いました. AEROPAC側の方々からも質問が飛び交い,時間をかなり押してしまいましたが,充実した朝食ミーティングを行えたのではないかと思います.

その後,カムバックコンペに対して賞金を提供していただいているSchlumbergerの田淵様よりお話を頂き,運営代表による総括および各コンペの表彰,そして,最後に中須賀先生より総評を頂き,ARLISS2009は幕を閉じました.

AEROPAC側からの報告 発表(1)
(写真左:AEROPAC側からの報告 右:発表(1))
発表(2) Schlumberger田淵さんご挨拶
(写真左:発表(2) 右:Schlumberger田淵さんご挨拶)
学生代表総括 中須賀先生の総評
(写真左:学生代表総括 右:中須賀先生の総評)
朝食ミーティング終了直後の様子
(写真:朝食ミーティング終了直後の様子)

最後に,ARLISS2009に関わった全ての皆さん(AEROPACの方々,日本側の先生方,参加学生,サポートして下さった方々)にお礼を申し上げたいと思います. 特に,ベッキーさん,中須賀先生,永谷先生,坂本先生,秋山先生,黒木先生には大変お世話になりました.本当にありがとうございました.

ベッキーさんとの集合写真 中須賀先生との集合写真
(写真左:ベッキーさんとの集合写真 右:中須賀先生との集合写真)

2009年度学生運営代表(永峰健太,小林雄太,遊佐淳也)

ARLISS参加団体報告書
団体名 報告書 発表資料 動画
東北大学
慶應義塾大学 CANSAT 2009 movies
東京理科大学 ARLISS2009 第2回レビュー動画
東京科学大学 松永研究室 ARLISS2009 第一・二回レビュー提出動画
日本大学
東京科学大学Bチーム ARLISS2009実験動画
香川大学
電気通信大学
東京科学大学 動設計学研究室 ARLISS2009技術レビュー用動画
九州大学 (報告書内にリンクあり)
秋田大学
九州工業大学 KINGS-F
九州工業大学 KINGS-P
創価大学