第5回 能代宇宙イベント

2009-01-010

2009年8月20日~25日にかけて開催された,第5回能代宇宙イベントに関して,報告致します. 第5回目を迎える今回は,カムバックコンペ,ハイブリットロケット打上,高校生を対象とした宇宙甲子園等の競技が行われ,全国から多数の大学や高専,高校が参加しました.

1.全体スケジュール

以下に本年度の能代宇宙イベント大学生競技の日程を示します.

能代宇宙イベント2009 大学生競技 日程
大学生カンサット 大学生ロケット 能代宇宙イベント
18日以前 午前
午後
19日 午前 秋田大ランチャー組み立て 設営作業
午後
20日 午前 カンサット事前打ち合わせ(学生代表) 宇宙甲子園開会式
カンサット甲子園
午後
21日 午前 UNISONランチャー組み立て 受付・機体審査開始
大型モデルロケット打ち上げ
午後
大学生技術交流会(13:00~ 南部公民館)
前日ミーティング・設営(15:00~) 高校生技術交流会inアリナス(夕食付)
22日 午前 カンサット競技
打上げリハーサル
書類提出
能代宇宙イベント開会式
午後 ロケット会議(17:00~ アリナス) 大型モデルロケット打上げ
懇親会inプラザ都(18:30~)
23日 午前 カンサット結果報告会
(9:00~南部公民館)
一般公開日
午後
大学生展示説明会(イベント会場:13時~) 水ロケット大会・その他
TSRP・STEP打ち上げ(13時、14時半)
24日 午前 ロケット打ち上げ

|ASSP
午後
|TSRP STEP
25日 午前 ロケット打ち上げ

|TSRP STEP
午後

26日 午前 撤収 撤収

2.大学生カンサット部門

本章では,大学生カンサット部門に関して,8月21日から23日にかけての一連のイベントを時系列に沿って示します. 大学生技術交流会や開会式,懇親会等はロケット部門と共通のイベントですが,今回はカンサット側の方に記載させて頂きます.

● 8月21日(金)-コンペ前日-
【大学生技術交流会】

13時より,南部公民館にて,大学生技術交流会が行われました. 交流会は,各団体が機体やポスターをテーブルの上に展示し,参加者がテーブルを回って交流を図るといった形式で進められました. これまでの技術交流会では,どうしてもロケット側はロケット側の団体を見に行き,カンサット側はカンサット側のみと交流を行うといった場面が多く見られたため,本年度は,時間を区切り,はじめはロケット団体のみが発表を行い,その後カンサット団体が発表を行うといった形を採用し,相互交流が図れたのではないかと感じています.
また,技術交流会の最後には,秋田大学和田先生よりイベント全体の諸注意がなされました.

 

技術交流会会場(南部公民館) 学生運営代表による交流会の趣旨説明
(写真左:技術交流会会場(南部公民館),右:学生運営代表による交流会の趣旨説明)
技術交流会の様子 和田先生によるイベント全体の諸注意アナウンス
(写真左:技術交流会の様子,右:和田先生によるイベント全体の諸注意アナウンス)

【前日ミーティング・現地作業説明】

大学生技術交流会終了後の15時より,カンサット側の団体は,南部公民館にて開催された前日ミーティングに参加するメンバーとコンペ会場にて当日の現地作業の説明会に参加するメンバーとに別れ,それぞれ前日ミーティング・現地作業説明を行いました.
前日ミーティングでは,ルールの再確認やコンペ当日のスケジュールの確認,各大学の作業分担等の説明を運営代表(永峰,遊佐)より行い,その後,投下順番をくじ引きにて決定し,希望する大学を対象に放出機構のかみ合わせ等を行いました.
一方,現地作業説明では,初めて能代宇宙イベントへ参加する団体や学生が多かったことから,現地までの道のりの確認や,現地での作業テントの場所,受付や目標点,制御履歴の確認方法,各大学の作業分担に関する各種業務の具体的な内容について,運営代表(小林)より実際に現地にて説明を行いました.

 

前日ミーティング 決定した投下順番
(写真左:前日ミーティング,右:決定した投下順番)

● 8月22日(土)-コンペ当日-
【カムバックコンペ】

朝6時半頃より,運営代表,目標点設置係,計測係のメンバーで当日の風向きや湿地の状態等から,気球の放球地点,目標点を決定しました. その後は,続々と現地入りしてきた各大学がそれぞれテントの組み立てや各種調整作業,目標点GPS座標の獲得等を行い,開会式を迎えました.

 

テント組み立ての様子 各団体の作業風景
(写真左:テント組み立ての様子,右:各団体の作業風景)
目標点とGPS座標獲得の様子
(写真:目標点とGPS座標獲得の様子)

 

当初の予定通り,午前9時より,秋田大学和田先生の司会で開会式が開催され,来賓の方々よりご挨拶を頂きました. 開会式の最後には,秋田大学のカンサットのデモフライトも行われ,会場を大いに盛り上げました.

 

開会式の様子 土岐先生のご挨拶
(写真左:開会式の様子,右:土岐先生のご挨拶)

 

いよいよ9時半頃より,カンサット競技が開始しました. 参加したのは,工学院大学(2チーム),首都大学東京,慶應義塾大学,大阪府立大学(2チーム),九州工業大学,九州大学PLANET-Q,東京大学,東京都市大学,九州大学(宇宙機ダイナミクス研究室),創価大学,秋田大学,早稲田塾の12団体14チームでした. 昨年度優勝の九州大学がカイト型を採用していたこともあり,本年度は翼形状の機体が多く見られました. その成果もあったのか,強風が降り注ぐ厳しい条件であったにも関わらず,好記録の多い大会となり,昨年まで運営を全て行っていた中須賀先生も感慨深げな様子でした.
学生運営初年度ということに伴う不手際さや,厳しい強風によりバルーンがなかなか上昇しなかったことなどが影響し,当初の予定を大幅に遅れ,全団体の2回の打上が終了したのは17時頃となってしまいました.

 

目立った翼形状の機体1 目立った翼形状の機体2 目立った翼形状の機体3
(写真:本年度目立った翼形状の機体)
本部受付 バルーンへのカンサット搭載の様子
(写真左:本部受付,右:バルーンへのカンサット搭載の様子)
上昇するバルーン 会場全体
(写真左:上昇するバルーン,右:会場全体)
強風に流されるバルーンの様子
(写真:強風に流されるバルーンの様子)

 

最終的なカムバックコンペの結果を以下に示します.
本年度の結果は,
 優勝:慶應義塾大学
 準優勝:東京大学
 第三位:九州大学
となりました.
現地での結果を記載したホワイトボードと秋山先生

 

能代CANSAT COMEBACK COMPETITION 成績
2009.8.22
重量 1回目(m) 制御履歴 2回目(m) 制御履歴
PLANET-Q 790g 97.5 × 90.5 ×
創価大 800g 76.5 × 60 ×
慶應義塾大 550g 19 28.5 ×
大阪府大A 410g 63.5 × 52 ×
九州大 430g 44.5 52.5
秋田大 410g 棄権 33 ×
首都大東京 1000g 34.5 × 51 ×
工学院大A 1000g 57 × 150 ×
東京都市大 220g 56.5 × 79.5 ×
東京大 500g 100.5 22
工学院大B 500g 20 × 64.5 ×
九州工大 800g 48.5 72.5
Comebackコンペに非参加で実験のみ
早稲田塾高校生チーム (167) (57) (参考記録)
1位 慶應大 Wolve’Z 19m
2位 東京大 Tenray 22m
3位 九州大 Recrise 44.5m
4位 九州工大 KINGS 48.5m
(写真左:現地での結果を記載したホワイトボードと秋山先生,右図:カンサットコンペ最終結果)

本年度より,コンペにおける安全管理を徹底して行うためのマニュアルを作成し,その一環として,現地には,各団体が今どこにいるのかを把握する欄をホワイトボードに設け,さらには宿舎に戻ったことを運営代表に連絡することを義務化しました. これらの効果もあり,コンペを無事に終えることが出来ました.

【懇親会】

そして,18時半からはいよいよ懇親会です. 運営代表を中心に司会進行を行い,各団体代表者に挨拶や意気込み等を話してもらいました. その後,カムバックコンペ上位3チームの表彰が行われ,中須賀先生より賞状,トロフィーが授与されました. 昨年度より,優勝トロフィーが破損してしまうという悲劇も発生しましたが,そうした伝統が良いのだという中須賀先生からの温かいお言葉を頂き,今後もさらにこのイベントが発展していくことを心から応援したいと感じました. なお,優勝した慶應大学には,JAXAよりIAC2009へ一名の学生を派遣する権利が与えられました.

 

学生運営代表による懇親会進行の様子 中須賀先生による東大の機体・学生の説明
(写真左:学生運営代表による懇親会進行の様子,右:中須賀先生による東大の機体・学生の説明) 
優勝した慶應大学の様子 優勝トロフィーと表彰状
(写真左:優勝した慶應大学の様子,右:優勝トロフィーと表彰状) 
優勝した慶應大学Wolve’Z集合写真 優勝機体
(写真左:優勝した慶應大学Wolve’Z集合写真,右:優勝機体)

● 8月23日(日)-カンサット結果報告会-
【カンサット結果報告会】

一夜明けた23日,朝9時より,カンサット結果報告会を行いました. 本年度はこのカンサット結果報告会における発表によって,最も新規性のある機体を作成した団体に対してUNISEC賞を与え,この団体に関しても,JAXAよりIAC2009へ一名の学生を派遣する権利が与えられるということになっていました. そのことも影響し,睡眠時間の少ない状況での朝早くからの発表ではありましたが,各団体しっかりとした発表を行っておりました.

 

発表の様子 発表に聞き入る参加学生
(写真左:発表の様子,右:発表に聞き入る参加学生) 
早稲田塾の高校生たちの発表の様子 佐原先生による結果報告会に関する講評
(写真左:早稲田塾の高校生たちの発表の様子,右:佐原先生による結果報告会に関する講評)

 

全団体の発表終了後,本年度のカムバックコンペ審査員を務めてくださった首都大学東京の佐原先生より,カンサットコンペ全体への講評と新規性を評価したUNISEC賞の発表がなされました.
その結果,九州大学PLANET-QがUNISEC賞を受賞し,IAC2009への派遣の権利を勝ち取りました.
佐原先生からは,新規性に関するUNISEC賞については,結果報告会に参加した全教員が満場一致でPLANET-Qを選んだというコメントを頂きました.
また,システムという考え方が出来る学生は少なく,システムが複数のサブシステムから構成され,サブシステムがさらに細かなコンポーネントから構成されているといったことを学ぶのにカンサットは最適なツールであるといった視点のコメントも佐原先生より頂きました.

 

PLANET-Qプレゼン資料 PLANET-Q代表者の受賞後の写真
(写真左:PLANET-Qプレゼン資料,右:PLANET-Q代表者の受賞後の写真)

結果報告会の終了と共に能代宇宙イベント大学生カンサット部門の全日程が終了しました. その後も大学生展示説明会があった関係で,全団体は会場へと移動し,地域の方々に丁寧に機体の説明を行う等,精力的な活動を行っていました. また,午後の水ロケット教室のお手伝いをしたり,ロケット団体の打上を見学したりといった団体もおり,普段の研究生活では味わえない充実した時間を過ごせていたのではないかと思います.

水ロケット教室のお手伝いの様子
(写真:水ロケット教室のお手伝いの様子)

最後にこのイベントに関わってくださった全ての学生,先生方,能代市の皆様に改めて感謝の意を述べさせて頂きたいと思います.

本年度学生運営代表の3名(左から遊佐,小林,永峰)
(写真:本年度学生運営代表の3名(左から遊佐,小林,永峰))
慶應義塾大学 小林雄太

各団体の報告

 

大学チーム名 報告ファイル 発表ファイル
慶應義塾大学(リンク)
大阪府立大学Aチーム
大阪府立大学Bチーム
首都大学東京
東京大学
東京都市大学
早稲田塾(リンク)
PLANET-Q
工学院大学Aチーム
工学院大学Bチーム
九州大学

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