第4回 能代宇宙イベント

2008-01-010

第4回能代宇宙イベント 報告

2008年8月23日~25日にかけて開催された、第4回能代宇宙イベントのうち、UNISECが関与した8月23日~24日の学生イベントについて報告いたします。

1.前日まで

ロケット実験のチームは、8月18日から射点の小屋とランチャーを設置。20日に試射、21日と22日にもリハーサルを行ったうえ、22日夜に参加団体会議を開き、当日に臨みました。

CANSAT側は8月22日に、希望チームが気球からの投下実験を行いました。しかし、これまでの雨のため、会場は至る所に膝ほどの深さの水たまりのある湿地と化しています。当初のルール「計測を終えるまで触れてはならない」に従うと、一回目の飛行で水没した機体は、二回目が飛行不能になる可能性が高いことが危惧されました。そこで、その夜の直前ミーティングで、「チームの者に限り、CANSATをキャッチしてよい」という臨時ルールが認められました。

2.開会式

8月23日の午前9:30に、秋田大学・秋山先生の司会で開会しました。

開会式・学生整列

秋田大学・土岐仁先生のご挨拶(写真・左)
能代市市長・齊藤滋宣 氏のご挨拶(写真・右)

土岐先生・今井氏 挨拶

この日は、真夏なのに全国的に冷え込んだ一日でした。能代でも雲がたれ込め、ときどき小雨がぱらつく天気。日中の最高気温が16℃にしかならず、また風も強くて寒い思いをしました。ロケットやCANSATにとってもこの風は難敵です。

3.運営体制

ロケット実験、およびCANSAT競技両方のシーケンス調整は、全体統括役である富岡君(秋田大)が担当。無線で連絡を取りながら、全体スケジュールを調整しました。また特にロケット実験では、2カ所の射点を秋田大・東海大の学生チームが安全・運営管理を行い、学生による自主運営を実現させました。

CANSAT側は東京大学・中須賀先生が進行を担当、九州大学・平山先生が審査を担当しました。そして参加各大学の学生たちで、気球運用、計測、映像記録など、人数の必要な現場作業を分担し、足下が悪いなか大会運営に奮闘してくれました。

会場全景

4.CANSATカムバックコンペティション

参加校は、和歌山大学、九州大学(2機)、早稲田塾、工学院大学、創価大学、慶応大学(2機)、大阪府立大学(2機)、東海大学、九州工業大学(2チーム,3機)、東京大学、秋田大学、首都大学東京、の計13チーム17機。投下順は前日にくじ引きで決め、各機2回ずつ投下しました。

気球作業

折からの強風のため、気球の高度が上がりません。係留索を最大限繰り出しても、高度は100m弱。ちゃんと制御できた機体でも、ターゲットに機首を向けたまま、強風に逆らえず空中に静止するか、あとずさりしてしまいます。そうなるとGPSの差分から算出する進行方向ベクトルを見失って、誤った方向に舵を切り、また大きく風にながされる・・・このような飛行パターンを描く機体が多かったです。

CANSAT飛行写真

5.ハイブリッドロケット実験

参加グループは、秋田大学、東海大学、CORE、筑波大学、和歌山大学、韓国航空大学校。ランチャーはUNISONのと秋田大学のと2基を使用し、効率よく準備作業が行えました。

ロケット打上

和歌山大学は23日に異常飛行しましたが、24日の実験で成功しました。初めて海外からの参加となった韓国航空大学校は、23日と24日に打上に臨みましたが、どちらも射点で準備作業中に不具合が発生し、今大会での打上は断念いたしました。その他のグループは、パラシュートの展開に失敗して自由落下した機体もありましたが、学生による安全管理がゆきとどいて、事故もなく実験を遂行できました。

ロケット降下中

湿地帯で機体を回収するのに、秋山先生の駆るクローラー・キャリアが大活躍。

秋山先生・クローラーキャリア

6.懇親会

能代の繁華街にあるプラザ都にて、懇親会を行いました。この会場で、カムバックコンペティションの順位が発表され、優勝の九州大学チームが表彰されました。

表彰式

7.技術交流会

8月24日の午前9:30から、山本広域交流センターにて、技術交流会を行いました。各チームから機体の説明と昨日の成果などを発表してもらいました。

技術交流会

今回は、「かぐや」搭載ハイビジョンカメラの主任、NHKの山崎順一氏を迎え「宇宙からのハイビジョン映像~月周回衛星かぐや搭載ハイビジョンカメラ~」と題して御講演頂きました。

かぐやHDTV講演 NHK山崎氏

8.カムバックコンペティションの講評

結果表(PDF)

1回目と2回目を比べると、2回とも成功したか、2回とも失敗したという機体がほとんどです。これは運や動作の不安定ではなく、機体の完成度の違いが如実に現れたものと思われます。

制御ができていても、風に負けてターゲットに向かえない機体が多かったです。ARLISSへの出場を考えるなら、砂漠の強風に負けないよう、滑空速度の高速化や、制御アルゴリズムの工夫が望まれます。

 

予定の投下時刻(猶予2分)までにCANSATを用意できないと失格というルールでしたが、悪天候などで投下スケジュールが徐々に遅れていったため、とくに後半このルールの準用は曖昧になってしまいました。

 

9.来年の計画

来年度はさらに学生によるイベント運営が強化される予定です。詳細に関しては11月のUNISECワークショップにて、秋田大から発表を予定していますが、全体統括・ロケット統括・CANSAT統括の三役を置き、大学生が参加する部分全体に関する自主運営を目指します。

《文責:平山(監修:中須賀・秋山)》


各団体の報告(希望団体のみ)

 

報告PDF 大学チーム名 発表PPT
大阪府立大学A
大阪府立大学B
九州工業大学B
九州工業大学C
九州大学zero
九州大学SCOREs
慶應義塾大学
東海大学カンサット
東海大学ロケット
東京大学
和歌山大学カンサット
和歌山大学ロケット
首都大学東京(ガムシャラ!)

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