第8回能代宇宙イベントが、2012年8月17日から24日にかけて秋田県能代市で行われました。
今年度からはハイブリッドロケットの海打ち会場が新たにオープンし、参加団体数も過去最高となりました。 また、3rd Cansat Leader Training Program (CLTP3) のCansat打上げもイベント内で行われました。 インターネットによる同時英訳付き全世界配信も行われ、UNISEC内外から非常に注目を浴びた年になったのではないでしょうか。
1.全体スケジュール
海打ちが行われたため、1週間に及ぶスケジュールとなりました。
日程 | 内容 |
---|---|
8月17日(金) | UNISEC競技初日 (缶サット競技、ハイブリット陸打上げ) |
8月18日(土) | UNISEC競技2日目 (缶サット競技・ハイブリッド陸打上げ)/ ロケット甲子園/大懇親会 |
8月19日(日) | 一般公開日 展示会 / デモフライト / デモ走行 / デモ陸打上げ / 大型モデルロケット公開打上げ / 水ロケット大会 / モデルロケット体験打上 |
8月20日(月) ~21日(木) |
ハイブリッドロケット陸打上げ |
8月22日(火) | 陸打ち予備日 / 海打ち会場準備 |
8月23日(木) | ロケット海打会場 |
8月24日(金) | 海打ち予備日 |
2.会場準備
競技開始の2日前、8月15日から徐々に会場の準備を行いました。 会場は能代市内の浅内鉱さい第三堆積場で、最初は一面の更地とコンテナがあるだけでした(といっても、この綺麗な更地にするためにも地元の方はずっと前から整地してくれていたのですが)。 15日はまずランチャの搬入、組み立てを行いました。 秋大ランチャ、UNISONランチャをそれぞれ秋大、東海大の方が中心となって設営してくれました。 続く16日は生憎の雨…というレベルではない暴風雨。 朝には「今日本当に設営やるんですか?」と問い合わせが来たほどでした。 雨の中の会場設営だけでなく埋まった物資搬入車も幾度となく救出し、皆さん本当にお疲れ様でした。
3.CanSat競技
設営が終わった17日からは、CanSat競技とロケット打上げが行われました。 ここではまずCanSat競技について記述します。 17日は16日とは打って変わって雨も無く、風も無い絶好の競技日和となりました。 運営代表は朝7:00に会場入りして打ち合わせを行い、気球にヘリウムガスを入れる作業やテントを立てる作業などを行いました。 9:00より簡単な開会式を行いました。
9:30より競技を開始しました。 開始直後は気球の設置に戸惑い、当初の予定の30分遅れの競技開始となりましたが、その後の競技進行はスムーズに進み、最終的には当初の予定の15分遅れで全チーム投下を終えることができました。 今年度フライバックが10チーム、ミッション系が5チーム、ローバーが8チームの計23チームに参加して頂きました。 競技1日目の全体の結果としては、ミッション系のチームは上手くいっているところが多そうですが、カムバックコンペティションについてはいい結果を残せたチームは少なそうでした。
翌日18日は各チーム競技1日目の結果を踏まえて2日目に挑みました。 競技1日目に比べて風が強かったので、林にロストしてしまうチームも見受けられましたが、1日目よりいい結果を残せたチームが多く見られました。 また競技運営も1日目よりスムーズに進み、当初の予定より30分ほど早く終えることができました。
さて、CanSat競技については17日、18日両日の成績を勘案して順位が決定されました。 例年に比べ、制御履歴が取得できているチームの割合が増えたように思います。 フライバックコンペ1位は東大中須賀研のチームNASU、ローバ競技は理科大木村研のチームヘリカルKSC、総合1位はチームNASUとなりました。
No. | TEAM(フライバック) | 1日目 | 2日目 | Rank |
---|---|---|---|---|
1 | NASU(東京大学 中須賀研究室) | △ | ○ 21m |
1 (総合1位) |
2 | Cansat UNISONチーム | – | – | – |
3 | SATT(静岡大学) | × | × | |
4 | TMG(首都大学東京・宇宙システム研究室) | – | pass | |
5 | ロボメカ工房(電気通信大学) | △ | ○ フィールド外 |
|
6 | KINGS(九州工業大学) | ○ 111m |
△ | 3 |
7 | Glucose Hawks(東京大学 中須賀研究室) | pass | × | |
8 | ASSP(秋田大学) | – | – | – |
9 | TMU Family(首都大学東京) | × | △ | |
10 | 芝浦衛星チーム(芝浦工業大学) | × | △ | |
11 | TM Brothers(首都大学東京) | – | pass | |
12 | KCPFM(工学院大学cansatチーム) | × | ○ フィールド外 |
|
13 | Hassaku9(青山学院大学) | – | – | – |
14 | ロボメカ工房 OB(電気通信大学) | × | × | |
15 | 東京都市大学 CanSatチーム | ○ 64m |
△ | 2 (総合2位) |
No. | TEAM(ローバー) | 1日目 | 2日目 | Rank | ||
---|---|---|---|---|---|---|
×: 制御・履歴ともに失敗 △: 履歴は取得できたが制御に失敗 ○: 履歴・制御ともに成功 pass : 棄権 – : ミッション系 | ||||||
1 | Team Wolve’s(慶應義塾大学 高橋研究室) | △ | △ | |||
2 | ヘリカルKSC | ○ 69m |
○ 72m |
1 (総合3位) |
||
3 | planet-Q(九州大学) | pass | × | |||
4 | T-SATプロジェクト(鳥取大学) | × | △ | |||
5 | 宇宙プロジェクト(東京電機大学) | pass | △ | |||
6 | WASA(早稲田大学) | pass | × | |||
7 | Hoper’s(芝浦工業大学) | × | × | |||
8 | 会津大学 | △ | △ |
4.ロケット打上げ(陸打ち)
17日からは、CanSat競技や他のイベントに並行してロケットの打上げも行われました。 ロケットの打上げスケジュールは17日が大阪府立大のコールドロケットと筑波大(1機目)、COREのハイブリッドロケット。 18日が東北大と和歌山大のハイブリッドロケット、19日が北大(2機)、20日が筑波大(2機目)と東京科学大学の打上げでした。 離床しない、開傘しないといったトラブルは数件あったものの、けが人もなく無事に各団体打上げ実験を終えることが出来ました。 風向・風速計測に関して多大なるご協力を頂きました有限会社タイプエス様にこの場を借りてお礼申し上げます。 各団体の詳しい結果については、追ってアップロードする各団体の報告書をご参考下さい。
また、モデルロケットの打上げにも学生団体が参加しました。 ロケット甲子園も含め、たくさんのロケットが打ち上がりました。 17日にはモデルロケットでCLTP3の参加者によるCanSatの打上げも行われ、全てのCanSatが無事に放出されています。
4.ロケット打上げ(海打ち)
22日に鉱さい堆積場を撤収した後は、そのまま落合浜の海打ち会場が設営されました。 海打ちの予定は23日でしたが、準備中に海の向こうからどす黒い雲が…そのままにわか雨というかにわか嵐が射点を襲い、海も時化てきたということで24日に延期となりました。 24日は東海大、秋田大の順番で行われ、漁師さんの協力もあって回収も含め非常にスムーズに進みました。 能代宇宙イベント初の海打ちも、天気には一杯食わされましたが大成功に終わりました。
5.一般公開日
順番が前後しますが、19日の一般公開日には専門の司会の方にも来て頂き、非常に盛況となりました。 この日に空を舞った物体については本当に数え切れない、というところです。 この日は16日の大雨がうその様な快晴で、逆に暑さで飲み物が売り切れるほどでした。 北大がUNISON CanSatを搭載したハイブリッドロケットの打上げを行い、ローバレース、水ロケット大会、モデルロケット打上げ、Tシャツコンテストなどたくさんの催しが行われました。 Tシャツコンテストでは東北大が受賞しました。
6.開会式、大懇親会など
開会式は18日の朝に行われました。 錚々たる来賓の方々にお越しいただき、競技を行う学生に激励の言葉をかけて頂きました。 また同日夜には来賓の方々もお招きして大懇親会が行われ、CanSatコンペティションの授賞式やCLTP3参加者の修了式も行われました。
会場の準備や後片付けを積極的に手伝って頂いた皆様、運営の補助をして頂いた皆様、そして、私たちに実験を行う場を用意して頂いた実行委員の皆様や能代市民の皆様、ボランティアスタッフの皆様に心よりの感謝の意を述べさせて頂きたいと思います。 本当にありがとうございました。
というわけでUNISEC10周年の年に8回目となった能代宇宙イベントも、本当に沢山の支援者の方々、秋田大学の学生・スタッフの方々、参加者の方々のおかげで大盛況、大成功となりました。 毎年毎年の積み重ねでどんどん新しいことが行われ、年々参加者のレベルも上がっています。 事務局長の和田先生からもありましたが、能代宇宙イベントはなによりも参加者で作っていくイベントです。 今年参加した方の中で、来年も参加する!という方もいれば来年はOBとして応援するよという方もいると思います。 一番大事なのは、能代の楽しさを来年の参加者である後輩に伝えることで能代宇宙イベントを盛り上げていくことだと思います。
来年の夏、また能代でお会いしましょう!