第12回能代宇宙イベントが2016年8月17日から26日にかけて開催された。
目次
概要
今大会は例年に比べ非常に多くの団体・チームが参加しており、特にハイブリッドロケット打上実験においては昨年よりも3機多い15機の打ち上げが行われた。
大会期間中に台風が秋田県を通過するなど天候に不安はあったものの、全競技・実験を大きな遅延・中止なく実施することができた。
今大会は企業賞の多さも際立つ大会となった。
今年度からCanSat部門においてタイプエス社様から、ハイブリッドロケット打ち上げにおいて、昨年に引き続きインターステラテクノロジズ社様、1年ぶりに三菱重工業様からそれぞれ企業賞を設けていただきました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
全体スケジュール
今大会は参加団体の増加に合わせてそれぞれの競技・実験の日程が長期化し、準備も含めて全体で2週間近い、非常に長期間のイベントとなった。
一般公開日は例年通り日曜日に開催し、大学生による体験型コンテンツや機体展示で非常に盛り上がった。
日程 | 内容 |
---|---|
8月18日(木) | CanSat競技/大学生ロケット陸打ち実験・リハーサル |
8月19日(金) | CanSat競技/大学生ロケット陸打ち実験 |
8月20日(土) | 開会式/CanSat競技/大学生ロケット陸打ち実験 |
8月21日(日) | <一般公開日> 体験型コンテンツ、機体展示 大型モデルロケット、秋田県中学生モデルロケット大会 |
8月22日(月) | 海岸清掃/大学生ロケット海打ちリハーサル |
8月23日(火) ~26日(金) |
大学生ロケット海打ち実験 |
会場準備
会場準備は競技開始の2日前、16日から開始した。
秋田大学からの物品搬入や競技の際に用いるテントやバルーンの準備をイベント会場となる第三鉱滓堆積場で行った。
ロケットの陸打ち射点ではASSPランチャおよび今年度から運用が始まった共有ランチャの設置が行われた。
今年度の準備は例年と異なり、16日の準備からからロケット・CanSat団体双方が集まり実施した。
ロケット打上実験では陸での打上実験が終了した20日にランチャを海打ち実験会場に移動した。21日に10mランチャ、ASSPランチャともに設置が完了し22日にリハーサルを実施した。
イベント会場
CanSat準備テント
技術交流会
8月18、19日にはロケット・CanSatの技術交流会がそれぞれ実施された。
技術交流会には競技・実験に参加する団体が集まり、それぞれの技術紹介や意見交換などを行った。
技術交流会の様子
開会式・懇親会
8月20日の朝からイベントの開会式を行った。
今年の開会式は天気にも恵まれ、式では能代宇宙イベント開催に多大なる協力を頂いた来賓の方々から学生に向けてそれぞれの思いを伝えていただきました。
同日夜には懇親会を行った。今年の懇親会ではおもにCanSatの表彰が行われた。
開会式の様子
表彰の様子
一般公開日
8月21日には能代宇宙イベントのメインイベントである一般公開を行った。
昨年に引き続き、体験型コンテンツや実際に競技や実験に用いた機体の展示、Tシャツコンテストなどを実施した。
今年は11団体が体験型コンテンツを7団体が機体の展示を行った。
非常に多くの方にご来場いただいた。
一般公開日の様子
CanSat競技
CanSat競技は天候にも恵まれ、予定通り18日~20日の3日間で競技を実施した。
CanSat競技は、自団体で作成した小型模擬人工衛星CanSatを気球で上げて、上空からCanSatを落とし、各自で設定したミッションを行うものである。
今年度も昨年と同様に参加団体数が多く、38チームのエントリーがあった。
そこで、気球を2つ用いて競技を進めた結果、38チーム全てが最低2回の投下を行うことができ、効率よく競技を進めることができた。
CanSat競技にはランバック・フライバック・ミッションの3部門がある。
ランバック部門は、気球から投下し着地した後、自律的にゴールを目指すものであり、ゴールまでの距離を競うものである。
次にフライバック部門は、気球から投下後に、空中で進行方向を制御しゴールを目指すもので、これもランバックと同じくゴールまでの距離を競うものである。
最後にミッション部門は、各自でミッションを設定し、そのミッションの面白さや達成度を競うものである。
CanSat競技の様子
CanSat競技の結果は以下の通りである。
<フライバック部門> | |
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優勝 | 静岡大学SATT フライバックチーム |
(2位以下該当なし) | |
<ランバック部門> | |
優勝 | 日本文理大学 NBU CanSat Project ランバックチーム |
2位 | 東京大学 中須賀・船瀬研究室 Team Grenouille |
3位 | 新居浜高専 電気情報工学科 若林研究室 Green Earth Japan |
<ミッション部門> | |
タイプエス賞 優勝 | 東京農工大学 宇宙工学研究部-Lightus- Team S.S.Y.H |
タイプエス賞 2位 | 慶應義塾大学宇宙科学総合研究会(LYNCS) SNSミッションチーム |
タイプエス賞 3位 | 芝浦工業大学 芝浦衛星チーム AMPM |
UNISON賞 | 慶應義塾大学宇宙科学総合研究会(LYNCS) SNSミッションチーム |
ハイブリッドロケット共同打上実験
イベント期間中の8月18日から20日に第3鉱滓堆積場にて、23日から25日にかけて旧落合浜海水浴場にてハイブリッドロケットの打ち上げ実験を行った。
能代宇宙イベントでは陸上打ち上げ-陸上回収の陸打ちと陸上から海に向けて打ち上げを行う海打ちの2部門があり、今年度は陸打ち7機、海打ち8機、計15機-全13団体の打ち上げ実験となった。
打ち上げ機数は毎年増加傾向にあり、今年度も過去最大の参加団体、打ち上げ機数となった。
参加団体は、南は九州大学(PLANET-Q)、北は室蘭工業大学(SARD)まで全国規模である。
参加団体一覧を下に示す。
1 | CORE(関東インカレサークル) Aチーム・Bチーム |
---|---|
2 | 東京科学大学 CREATE |
3 | From The Earth(F.T.E.) |
4 | 秋田大学学生宇宙プロジェクト(ASSP) |
5 | 神奈川大学 宇宙ロケット部 |
6 | 神奈川大学 高野研究室 |
7 | 九州大学 PLANET-Q |
8 | 芝浦衛星チームハイブリッドロケット班(SSTR) |
9 | 筑波大学宇宙技術プロジェクト(STEP) |
10 | 東海大学チャレンジセンター学生ロケットプロジェクト(TSRP) |
11 | 東京農工大学 宇宙工学研究部 Lightus |
12 | ひよこ(CORE OB) |
13 | 室蘭工業大学学生航空宇宙研究開発機構(SARD) |
陸打ちにおいてSARDを除く全ての団体が点火シーケンスおよび打ち上げを実施した。
また、海打ちについては全ての団体が点火シーケンスを行い、CREATE・F.T.E.・秋田大学学生宇宙プロジェクト・神奈川大学 宇宙ロケット部・ASSP・TSRPが打ち上げを実施した。
TSRPの打ち上げにおいてはロケットが飛翔中に音速超える設計であるなど非常に技術レベルの高い実験であった。
海打ちの様子
今年度の打ち上げ実験は過去最大の参加団体数・打ち上げ機数であったことから、13日に及ぶ長期の共同実験となった。
実験の準備に際して、団体ごとに仕事を分担することでより効率的に準備をすすめることができた。
実験期間中には参加者の体調不良や一部の物品不足が発生したものの、大きな事故なく実験を終えることができた。
今年度の反省点を活かし来年度はさらなる円滑な共同実験運営を目指したい。