はじめに
2012年9月9~14日の期間にアメリカネバダ州ブラックロック砂漠にて開催されたARLISS2012に関して報告します。 ARLISSは今年で13年目、14回目の開催となり、合計25チームが参加しました。 今年は、海外から日本・韓国・アメリカの3か国から社会人チームを含む計25チームの参加がありました。 昨年度から引き続きComback CompetitionおよびMission Competitionの2つを開催しました。
全体スケジュール
以下に本年度のARLISS2012の大会スケジュールを示します。
日程 | 内容 | |
---|---|---|
9/9(Sun) | 午後 | 技術交流会、会場設営 |
9/10(Mon) | 午前 | 開会式、打ち上げ開始 |
午後 | 打ち上げ | |
9/11(Tue) | 終日 | 打ち上げ |
9/12(Wed) | 午前 | 打ち上げ |
午後 | 打ち上げ、Night Launch | |
9/13(Thu) | 午前 | 打ち上げ |
午後 | 打ち上げ、撤収作業 | |
9/14(Fri) | 午前 | 朝食MTG(結果報告会)、解散 |
大会詳細
ARLISS2012の流れを時系列に沿って説明します。
9月9日(日)
【事前打ち合わせ・技術交流会】
ARLISS参加チームが正午にBruno’s Coutry Clubに集合し、事前打ち合わせおよび技術交流会を開催しました。 AeroPac代表のKenさんより期間中の注意事項を説明して頂き、その後、各チームが自己紹介をし、実機を見せ合いながら意見交換を行いました。 フリーディスカッションの際には参加者が積極的に他団体のテーブルに足を運び、活発に意見交換する様子が見受けられました。 事前打ち合わせでは、現地での安全管理に関する連絡手段の確認および連絡方法の統一を図り、大会ルールの確認、その他諸注意に関して連絡し、技術交流会が終了しました。 技術交流会終了後、全員で歩いて移動して、朝食MTG会場のCommunity Centerおよび安全管理書類の置き場所を確認しました。
左:AeroPac代表 Kenさんによる注意事項の連絡 / 右:事前打ち合わせ
左:技術交流会 日高高校 / 右:技術交流会 首都大学東京
【事前打ち合わせ・技術交流会】
技術交流会終了後、運営チーム及び慶應TeamWolve’Zの先導のもと、全チームでBruno’s Country Clubからブラックロック砂漠の射点まで移動しました。 打ち上げ地点では、テント設営、ゴールポイント設置およびゴール地点のGPS座標取得を行いました。 当日は風が強かったため、テントの屋根は張らずに骨組みだけを組んで解散しました。
射点に向けた移動
9月10日(月)~13日(木)
【開会式】
ARLISS参加チームおよびAeroPacメンバーが午前8時に射点に集合し、開会式を開催しました。 開会式ではまず、AeroPac代表のKenさんより開会の挨拶を頂き、続いて和歌山大学の秋山先生より挨拶を頂きました。 その後学生運営側から簡単な挨拶と砂漠での安全管理に関する諸注意を連絡しました。 最後に、参加者とAeroPacメンバーで集合写真を撮影して、開会式が終了しました。
左:開会式 / 中央:開会式時の運営陣 / 右:集合写真
【大会の様子】
9月10日~13日の4日間に渡って打ち上げを行いました。 今年は大会期間中に雨が降ることなく、また全日程を通じて風も穏やかで非常に天候に恵まれていました。
左:CanSat計測後の集合写真 UNISON(UNICORN-1)
中央:CanSatをロケットに積み込む様子 東京電機大学(Space Project)
右:打ち上げ前のチーム代表による挨拶 東京大学(NASU)
左:打ちあがるロケット / 中央:代表的な翼型CanSat 首都大学東京(TMU Family) / 右:代表的なパラフォイル型CanSat 九州工業大学(KINGS)
左: / 中央: / 右:
【打ち上げ実績】
- 9月10日
東京大学(NASU)、首都大学東京(TMG)、日高高校(CanSat甲子園優勝校)、UNISON(UNICORN-1)、首都大学東京(TMU Family)、東京理科大学(Herical KSC)、首都大学東京(TM Brothers)、愛知工科大学(STELA I) - 9月11日
東京大学(Glucose Hawks)、慶應義塾大学(Team Wolve’Z)、日高高校(CanSat甲子園優勝校)、愛知工科大学(STELAⅡ)、秋田大学(ASSP)、電気通信大学(Tequila Sunrise)、電気通信大学(Mckinley)、東京科学大学(SABRO)、九州工業大学(KITCat) - 9月12日
首都大学東京(TMU Family)、首都大学東京(TMG)、東京大学(NASU)、九州工業大学(KINGS)、UNISON(UNICORN-1)、首都大学東京(TM Brothers)、愛知工科大学(STELA I)、ソウル大学(SNUSAT)、電気通信大学(Tequila Sunrise)、東京電機大学(Space Project) - 9月13日
東京大学(Glucose Hawks)、東京理科大学(Herical KSC)、秋田大学(ASSP)、White Label Space Japan(社会人)、電気通信大学(Mckinley)、九州工業大学(KITCat)、ソウル大学(SNUSAT)、愛知工科大学(STELA II)、慶應義塾大学(Team Wolve’Z)、九州工業大学(KINGS)、慶應義塾大学(Tortoise)、東京科学大学(SABRO)、東京電機大学(Space Project)
打ち上げ数 合計40発
【Night Launch】
大会3日目の夜にはAeroPacの方によるNight Launchが行われました。 7色に光るLEDを搭載したロケットは真っ暗な砂漠の夜に映え、Night Launchを見守る観衆からの大きな拍手に包まれて終了しました。
【2段階ロケット打ち上げ】
今回は、Beckyさんを中心とするAeroPacメンバーのプロジェクトで2段階ロケットの打ち上げも行われました。 ARLISS参加者のCanSat打ち上げと並行しながらAeroPacの方々はプロジェクトの準備も進め、無事に打ち上げ・回収をすることができたようです。 さまざまなサイズのロケットをARLISSと並行して打ち上げている様子は大変迫力があり、貴重な機会だったと感じています。
【Facebook、Twitter、Ustreamによる実況】
大会期間中にAeroPacと協力して、SNS及びUstreamによる大会中継を行いました。 日本でこれらの中継を見てくれた方々からの反応もありました。 一方で配信ペースが安定せず、すべての情報を伝えきれなかったことは反省すべき点だと考えています。
【運営システム】
現地での円滑な運営、ロケット及びCanSat状態の見える化を図りステータス表を導入した。 運営側としては安全管理面の状況をステータス表から視覚的に瞬時に判断することを目的とし、また参加者に対してはどのくらいの団体が準備状態にあるのかを把握できるようにすることを目的とした。
ステータス表 運用の様子
各種コンペティション結果
カムバックコンペティション及びミッションコンペティションの結果を以下の表に示します。 今年はカムバックコンペティションでは電気通信大学(Tequila Sunrise)がゴール地点到達(2.74m)を達成し、慶應義塾大学(TeamWolve’Z)はゴールから48.2m地点に到達するという素晴らしい記録を残しました。 表からもわかるように制御履歴の提出率が前年度に比べて大きく上昇し、全体としてハイレベルなコンペティションとなりました。
No. | TEAM | Result | Rank | |
---|---|---|---|---|
1st Flight | 2nd Flight | |||
注:制御履歴が認められた記録は○、それ以外は×、 -は提出できなかった場合を示す。 | ||||
1 | 愛知工科大学 STELA I | – | ○2980m | 7 |
2 | 愛知工科大学 STELA II | ○3540m | ○2370m | 6 |
3 | 九州工業大学 KINGS | ○4470m | ○1642m | 4 |
4 | 東京理科大学 ヘリカルKSC | – | ○1783m | 5 |
5 | 首都大学東京 TMU Family | ○4063m | ×437m | 9 |
6 | 慶應義塾大学 Team Wolve’Z | ○48.2m | ×3630m | 2 |
7 | 九州工業大学 KIT Cat | – | – | |
8 | 神戸大学 アカツキ | – | – | |
9 | 東京科学大学 SABRO | – | – | |
10 | 電気通信大学 Mckinley | ×6000m | – | |
11 | 電気通信大学 Tequila Sunrise | – | ○2.74m | 1 |
12 | 東京大学 NASU | ○6308m | ○3632m | 8 |
13 | 東京大学 Glucose Hawks | ×2780m | ○1160m | 3 |
14 | ソウル大学 SNUSAT | – | – | |
15 | ハワイ大学 Hawaii | – | – | |
16 | ネバダ大学リノ校 Reno | – | – | |
17 | ジョージア工科大学 Geogia | – | – |
左:カムバックコンペティションで優勝した電通大(Tequila Sunrise)チーム
右:カムバックコンペティションで準優勝した慶應大(TeamWolve’Z)チーム
TEAM | Prior Review Score |
Presentation Score |
Total Score |
Rank |
---|---|---|---|---|
Tokyo University of Science /Herical KSC |
5.5 | 34 | 39.5 | 14 |
Tokyo Metropolitan University /TMG |
12 | 46 | 58 | 3 |
Tokyo Metropolitan University /TMU Family |
10 | 41 | 51 | 5 |
Tokyo Metropolitan University /TMBrothers |
11.5 | 38 | 49.5 | 6 |
Keio University /Team Wolve’Z |
8 | 39 | 47 | 9 |
Kyushu Institute of Technology /KIT Cat |
6.5 | 30 | 36.5 | 18 |
Tokyo Institute of Technology /SABRO |
10 | 43 | 53 | 4 |
Keio University /Tortoise |
9 | 33 | 42 | 13 |
Tokyo Denki University /Space University |
9 | 35 | 44 | 11 |
Kyushu Institute of Technology /KINGS |
8.5 | 28 | 36.5 | 17 |
The University of Electro-Communications /Tequila Sunrise |
9.5 | 54 | 63.5 | 1 |
The University of Electro-Communications /Mckinley |
9.5 | 30 | 39.5 | 14 |
The University of Tokyo /Glucose Hawks |
11 | 37 | 48 | 7 |
The University of Tokyo /NASU |
8 | 40 | 48 | 7 |
UNISON /UNICORN-1 |
11.5 | 48 | 59.5 | 2 |
Akita University /ASSP |
9 | 28 | 37 | 16 |
Seoul University /SNUSAT |
5.5 | 37 | 42.5 | 12 |
University of Hawaii | 12 | 34 | 46 | 10 |
University of Nevada | 6.375 | 0 | 6.375 | – |
Kobe University /Akatsuki |
0 | 23 | 23 | – |
9月14日(金)
4日間に渡る打ち上げを終え、結果報告を行う朝食MTGが午前9時半頃よりCommunity Centerで行われました。 1チーム5分のプレゼン(発表3分+質疑応答2分)により全チームの結果報告を行いました。 発表と同時にミッションコンペティション参加チームは相互採点を実施しました。 国内で事前に審査した事前審査得点と現地でのプレゼン及びミッション達成度合いによる得点を合計し、最終的なミッションコンペティションの順位を決定しました。 また、カムバックコンペティションに対して賞金を提供してくださっているシュルンベルジェ社の大澤様より会社概要のプレゼンを行って頂き、両コンペティションの表彰を行いました。 最後に、運営代表によるARLISS2012の総括およびARLISS2013の日程告知を行い、首都大学東京の佐原先生およびAeroPac代表のKenさんより総評を頂き、朝食MTGは終了しました。
最後に、ARLISS2012に関わってくださって全ての皆様に御礼を申し上げたいと思います。 AeroPacの皆様、日本側の先生方、国内でレビュー会等の審査をしてくださった先生方、各種運営チームの中心となって活動してくれた学生の皆様、ARLISS2012参加学生の皆様、現地運営メンバーの皆様、本当にありがとうございました。 みなさんと一緒に熱い夏を過ごせたことを心から嬉しく思っています。
団体名 | 報告書 | 発表資料 |
---|---|---|
愛知工科大学 | ||
九州工業大学 KINGS | ||
慶應義塾大学 Tortoise | ||
首都大学東京 TM Brothers | ||
首都大学東京 TMG | ||
首都大学東京 TMU Family | ||
秋田大学 ASSP | ||
電気通信大学 McKinley | ||
電気通信大学 Tequila Sunrise | ||
東京科学大学 SABRO | ||
東京大学 NASU |