UNISON代表、各WG代表
目次
1. 概要
開催日: | 2015年8月1日(土)・2日(日) |
場所: | 東京大学 |
(1日目:8月1日)
2. UNISON全体会議
今年は始めに、UNISON全体を集めて「UNISON全体会議」を行いました。 まず初めにUNISON代表の自己紹介を行った後、UNISON代表が今後のUNISONの活動理念/長期ビジョンについて宣言しました。 今後のUNISONの長期ビジョンは「教育団体から社会貢献団体へ」です。 今後は、UNISONとしても社会貢献を目指して活動を行っていくこととなります。
最後に事務連絡を行った後、予算案について全体で決をとりました。 予算案に関しては、満場一致で承認を頂きました。
3. 各WG活動報告(1日目)
3.1. 衛星WG
衛星WGでは、各団体の超小型人工衛星の開発・運用の成功率向上の為に、年3回(7月、12月、3月)発表会やディスカッション等といったイベントを企画・運営し開催しています。 また、衛星WGで開催しているイベントは、衛星開発を行っている団体同士での情報共有を活性化させ横のつながりを強化することも狙っています。
今回は「第3回情報共有ディスカッション」を実施しました。 また、情報共有ディスカッションと同時進行で、UNISON衛星WGの今後の活動方針について議論を行いました。
ディスカッションの資料、各テーマの議事録に関しては衛星WGで整備しているデータベース(Wiki)にアップロードして更なる情報共有を図る予定です。
3.1.1. 第3回情報共有ディスカッション
情報共有ディスカッションでは、全部で5テーマの技術的なテーマを設けて情報共有ディスカッションを実施致しました。 実施した技術的なテーマは以下の通りです。
- シミュレータを利用した姿勢系開発
- 通信系としての開発導入、及び体験談の共有
- 衛星システムの冗長設計
- 効果的な新入生教育とは
- システム設計における、手戻り防止と対処方法
情報共有ディスカッションに関しては、以下のURLをご覧ください。
第3回情報共有ディスカッションイベントページ
3.1.2. 衛星WGの今後の活動方針
衛星WGに所属しているUNISONメンバで話し合い、衛星WGの今後の活動方針を以下のように定めました。
- 長期目標:「超小型衛星の開発・運用の成功率向上」
- 中期目標:「データベースの拡充・整備」
- 短期目標:「活動内容の周知徹底」
超小型衛星の開発・運用の成功率が向上することによって、学術/技術的に社会貢献することが出来ます。 長期目標を達成するために、中期目標として衛星情報共有データベースの拡充・整備を行っていく予定です。 また、データベースの拡充・整備を行うにあたり、UNISON衛星WG全体に向けて具体的な活動内容の共有を行っていく予定です。 活動内容の周知徹底には、データベースの拡充・整備を行う運営メンバを増やし、体制を強化する狙いがあります。
3.2. ロケットWG
ロケットWG加盟団体は増加の一途をたどり、現在では15 を越える研究室やプロジェクトを迎えるまでに成長しました。 今年度は、新規団体等のスムーズな合流を加味した射場共有や、ガイドラインの策定についてに関する内容を中心に話し合いを行いました。
3.2.1. ガイドランの策定
これからロケットの製作に望もうとしている団体の多くは、製作から打ち上げまで具体的な情報を必要としています。 一方で既存団体には形式化口頭のみでしか伝えてこなった実験には必須の技術や準備がありました。 これらのノウハウを一度文書化することにより、ロケットWG加盟した団体全で継続的な技術進歩の流れ作りをWG全体で行っていこうと確認いたしました。 ガイドラインの完成目標として、新規団体ができ場合に手渡せるバイブル的なものを作成する、既存団体において新入生教育にく変える程度のものにする、曖昧となっている安全基準などを取りまとめる、以上の3点を定めました。 総会では主な項目づくりと執筆者の割り振りを行いました。
現在決まっている項目
- ハイブリットロケットの概要
- ロケットの構成
- 事前検証
- 打ち上げ実験への参加
- フィードバック
3.2.2. 新ランチャの建造
ランチャ (ロケットの発射装置)の不足により、打ち上げ実験の長期化や、ランチャ所有団体の負担増加、さらにはランチャを所有しない団体は打ち上げ実験行う機会が限定されるなどの問題があります。 この活動では「ランチャ所有の有無に左右されることなくすべてのロケット団体が、自由度高く生き生きと打ち上げ実験を行えるようにする」ことを目標としました。
3.2.3. 射場管理
能代、伊豆大島をはじめとする複数の地域現在を射場として使用できるが、目的や打ち上げ条件等の情報共有不足により、射場ごと参加団体数が大きく偏るなどの問題が発生しています。 各射場の環境や使用目的を明確化することにより、打ち上げ実験の運営負担分散、それぞれのロケーションを生かした打ち上げ実験の運営および遂行を狙います。 話し合いでは、現在具体的に使用している能代(秋田)・伊豆大島(東京)・加太(和歌山)3つの射場について特徴や打ち上げ条件を整理しました。 また、現在では参加団他の少ない加太についても打ち上げ実験をイベント化する方針が固まり、全国3射場での打ち上げ分散を進めています。
3.3. CanSat WG
3.3.1. 競技大会に関する説明
CanSatWGでは8月の能代宇宙イベント、9月のARLISS (A Rocket Launch for International Student Satellites) の2つの競技大会を運営しています。 これらの大会における概要や注意事項の共有を図りました。 特に、ARLISSでは賞の定義が変更し、カムバックコンペティション(ターゲットポイントへの到達を目指す競技)において精度賞と技術賞を設けることの合意を取りました。 従来通り精度賞ではCanSatの最終位置とターゲットポイントの距離を競います。 加えて新設した技術賞では、ミッションの達成に関わらず「飛行技術」「走行技術」「制御アルゴリズム」「革新的な技術」の4部門で優れた技術を評価します。 また、従来から一新されたARLISSのレビュー制度を共有しました。 安全審査とミッションレビューの2つを設定しており、ARLISSの出場権にはCanSatの安全性が厳しく問われる一方、ミッションが成功するかどうかのレビュー項目ははた別に設定することにしています。
3.3.2. 国際プロジェクト
新しくCanSatWGとして活動を進めている企画に国際プロジェクトの共有を行いました。 現在、国際カンサットプロジェクトとして国際チームでARLISS2016を目指しています。 遠距離の共同開発のモデルケースとして実施し、将来的には国際協力による衛星開発の大型プロジェクトにつなげていきたいと考えています。 また、ARLISSをグローバルスタンダードな大会にして、能代宇宙イベントに相当する国内大会を他国にも広げていくことも視野に入れています。
3.3.3. 今後の目標とビジョン
今までワーキンググループとしての問題点や共通目標を話し合いました。
CanSatWGの長期的な目標は「実用技術を実証する場としてのCanSat」を掲げます。 衛星開発の教育ツールとして考えられているCanSatですが、ロケットや人工衛星と異なり特定の形や達成すべき技術に固有な形を持たないのがCanSatの特徴です。 そのため、人工衛星の要素技術はもちろん、その他の地上における科学技術を広く実証する場としての可能性を見いだしました。 すでにAXELSPACE CUP(AXELSPACE社とUNISECが主催するCanSatのコンペティション)では、結果だけでなくプロジェクトの社会貢献性やプロジェクトマネジメントを含めて評価し、様々な分野の技術実証CanSatが作成されています。 一部は論文としての評価も受けています。 これを一部の団体のみにとどめずに、ワーキンググループ全体のスタンダードにすることこそ、長期目標「実用技術を実証する場としてのCanSat」の意味するところです。
その一方で、現状の問題点として上がった点が「技術力の不足」と「団体間交流の不足」です。 特に技術力の不足は深刻と捉えており、ARLISSではレビュー精度を設けながらもミッション達成率が低い状況です。 そこでベースとなる基礎技術に関しては積極的な共有を図ろうと考えました。 主にWebベースでの技術情報の蓄積・共有を検討しています。 以前から導入していた大会報告書をWebベースで改善し、失敗原因の共有や検索性の向上を目指します。 また、同Webサイト上に技術相談の掲示板を作成し、意見交換の場を作ることも話し合われました。 定期的に団体間の交流を行うことを目標に、相互レビュー会というものが提案されました。 これにより、他チームからの客観的な意見をCanSatに取り入得ることができると考えています。 これらを長期目標にむけた第一歩として実践し、まずは現状の問題(「技術力の不足」と「団体間交流の不足」)を解決することが、短中期的な目標となります。
3.3.4. 技術交流会
各団体が開発中や過去のCanSatを持ち寄り、技術交流会を行いました。
3.4. GSN WG
GSNWGでは、衛星のデータをより効率よく取得するために地上局を所有する大学間での「受信協力」を主として活動を行っています。 地上局についての「ノウハウ共有」もしています。 衛星WGが8月1日に開催した、第3回情報共有ディスカッションではGSN WGとして参加し、そこでGSN WGの今後の活動について話し合うのと共に、衛星WGとGSNの活用についても知識を共有しました。
3.4.1. 受信協力
「観測時間の拡大」、「通信経路の冗長性の保証」、「クリティカルフェイズにおけるデータの取得を簡単にする」というメリットのために、GSN WG内では相互の受信協力をしています。
また海外からの受信協力要請への対応や、UNISEC-GLOBALでのGSNの構築に関する議論への参加も行っています。
3.4.2. ノウハウ共有
ノウハウ共有としてGSN wikiの更新、年二回のワークショップを行っています。
今回は、衛星WGの開催したグループディスカッションで「衛星WGからGSNWGへの要求について」というテーマで話し合いました。 その中でGSNが衛星に活用できるようにするために何ができるかを考え、まずは衛星側にGSNをより知ってもらおうという意見が出ました。
3.4.3. 共有局、ネットワークの管理
GSNでは、遠隔地上局である菅平局のメンテナンスや遠隔地上局システムのネットワーク管理を行っています。
3.4.4. 今後の活動予定
GSN WGの今後の活動方針を以下のようにまとめます。
短期目標:「衛星WGへのGSNWGの周知」
中期目標:「衛星によるGSN利用の拡大」
長期目標:「GSNの利用を衛星設計のなかに」
GSNwikiと衛星情報共有wikiとのリンクや衛星WGの開催するディスカッションへの参加をしていき、GSNを利用することを前提とした衛星設計を実現していきたい。
3.5. バルーンWG
地上に比べて電波的な外乱要因が少なく、より理論値に近い実験ができるなどの長所を持ったバルーンサットの活動を活発化すべく、今後の活動方針等を定めました。 Skype等を用いて議論を進めていき、安全に関するガイドラインの作成、成層圏気球実験を行おうとしている団体や個人の把握、MLの運用等を行っていきます。
3.5.1. バルーンサット実験・バルーンWGとは
バルーンサット実験は大型のゴム風船に追尾用の通信機器やカメラなど観測機器を搭載して放球し、成層圏(地上から30km)へ到達した後、気圧が低くなることにより風船が割れ、落下してきたものを海上で回収します。 バルーンサット実験は缶サット実験からのステップアップであり、衛星の予備実験として利用できます。 キューブサットより安価で実施可能であるため、学生も実験を行うことができます。 実験場所が成層圏であることから、地上に比べて電波的な外乱要因が少なく、結果がより理論値に近くなることが期待できます。 そのために近年バルーンサット実験に注目が高まってきています。
しかし、日本でバルーンサット実験は航空法・電波法に抵触する恐れがあります。 法律に抵触する実験をしてしまうと、たくさんの実験を行う利点があるにもかかわらず、新たな規制ができるかもしれません。 規制ができたことにより、バルーンサット実験が日本でできなくなってしまう可能性があります。 そこで、2014年バルーンWGを結成しました。
3.5.2. 今年度の活動について
昨年度結成したWGであるため活動を行うにあたって土台ができていないのが現状です。 近年注目が高まってきている、バルーンサット実験を安全にかつ日本の法律にのっとって行うために、実験を行う際のガイドラインを作成していきます。 さらに、UNISEC団体にかかわらず、全国のバルーン実験を行っている、あるいは行おうとしている、興味がある団体の把握をします。 そしてMLやSkypeを利用して情報の共有を行い、今後バルーンサット実験が活発になるように活動していきます。
4.Systems Engineering 講習会
交流会WGは「WGの垣根を越えた交流」をコンセプトに、今まではアイデアソンなどのイベントを開催してきましたが、UNISON全体が所属しているという利点を活かし、これからはUNISON全体に何かフィードバックのある活動ができないか、と考え今回のような勉強会を実現させました。
今回の第一回システムズエンジニアリング勉強会では産業技術大学院大学の島津恵子先生をお呼びして、島津先生のシステムズエンジニアリングの一回目の講義をしていただきました。講義ではグループワークも行われ、各班で積極的な議論がなされました。
5.懇親会
東大近くの飲食店「チムニー本郷」にて、懇親会を行いました。 1日目の懇親会では各WGの学生を中心とした交流イベントが実施できました。
(2日目:8月2日)
6. 各WG活動報告(2日目)
6.1. 広報WG
6.1.1. UNISECが広報を行う意味
広報活動団体でないUNISECが広報を行う意義は大きく2つあると考えており、これを共有しました。 1点目は認知度の上昇させ、次世代のUNISEC会員を育みます。 小学生から高校生にかけて行われる活動がこれにあたり、今までの広報WGの主流でもありました。 もう一つの意義は、技術系のワーキンググループで開発された技術を社会に還元するツールとしての広報活動です。 11年目を迎えるUNISECには多くの開発技術がありますが、これらが適切に社会に還元されているとは言えません。 今後の広報活動ではこの2点目の意義を重要視し、社会貢献団体としてのUNISECを目指す上で、重要な役割を担っていきたいと考えています。
6.1.2. 展示・発表
昨年と同様に7月のUNISEC Global MeetingにてUNISON Japanとして発表しました。 また、7月のISTS (International Symposium on Space Technology and Science) にてポスター等のブース展示を行いました。 今後の予定としては、10月の宇宙科学技術連合講演会にてUNISONの長期ビジョンについて発表を行う予定です。 その他、11月のG空間EXPOに査読通過し、CanSat Mapping (CanSatのデータベースをGoogle Earth上に構築したもの)に関するブース展示およびプレゼンテーションを行う予定です。
6.1.3. 学校訪問プロジェクト
従来、UNISON団体から積極的に母校などに呼びかけて行われていた「母校訪問プロジェクト」を「学校訪問プロジェクト」と改め、UNISON団体からの呼びかけと小中学校・高校からの申請の双方より訪問授業の機会を得る環境を整えたいと考えています。 これにより、飛躍的な広報の場の展開につながります。 しかし、教育現場におけるUNISONの知名度をある程度高める必要があり、まずは従来通りの母校を中心としたアプローチや、科学館等の科学に興味を持つ団体にアプローチしていく必要性を議論しました。
6.1.4. Web広報
Facebookやブログ、ホームページなどでの広報活動は行われていましたが、これをさらに押し進める戦略としてYouTubeチャンネルの導入を議論しました。 各チームの動画を毎週アップロードすることや競技イベント(能代宇宙イベント、ARLISS等)の動画をアップロードすることを検討しました。 技術系のワーキンググループが開発した技術を社会に還元するために、動画の公開は非常に強力なツールになると考えています。
6.2. 交流会WG
交流会WGでは、総会1日目に行ったシステムズエンジニアリング勉強会をこれからどのように進めていくかについて話し合い、またシステムズエンジニアリングだけでなく、他にUNISON全体で勉強会として企画したいテーマがあるか案を募りました。 加えて、昨年行って好評だったUNISEC運動会を今年も企画しているので、その種目の案を募り、投票で決定しました。
6.2.1. 勉強会企画について
今回は近くの席の人と班をつくって、グループ単位で相談してもらうことで様々な意見がでるように会議を進行しました。 システムズエンジニアリングは全WG・全団体に共通するテーマであるので、今回行った勉強会は大変有意義であったので、このシステムズエンジニアリング勉強会をシリーズ化していくという方向性で決定しました。 その際、どうしても交流会のイベントは関東で行うことが多くなってしまうのでUstreamで配信できるようにしたり、地方で開催したり、内容は一回で簡潔できるようにするなどの意見が多くあったのでこれから検討していきたいと考えております。
そのほかの勉強会については、プロジェクトマネジメントなどテーマがはっきりしているものから、先生をお呼びせずに学生だけで教え合ったりグループワークをするなどといった、勉強会の進め方についての意見もありました。 今回あがった意見の中から、いくつかを実現したいと思っております。
6.2.2. UNISEC運動会の種目について
運動会についても勉強会と同じようにグループで話し合ってから意見をだしてもらいました。 バスケットボールやバドミントンといった競技から、鬼ごっこなど楽しめるものまで様々な意見がありましたが、班単位の投票によって今年度もフットボールを行うことに決まりました。