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アウトリーチ報告書

東京大学中須賀研究室修士1年 舟根司

2004年6月11日、北海道旭川東高等学校において、私の中須賀研における今の活動や、中須賀研究室が今までしてきたことについて講演をしてきました。この母校訪問プログラムの一つの目的は、今ちょうど進路を決める段階にある高校生に、私達の大学における宇宙開発の活動を知ってもらい、そして何かいい影響を与えることです。進路を考える高校生にとってこのような大学生の活動を知ることはとても有益なことだと思います。そして同時に、私達が高校生から得られることも大きいです。

講演内容としては@自己紹介A高校生のときの生活B大学入学から航空宇宙に進学した経緯C中須賀研に入った経緯D衛星開発をやる動機ECanSat, CubeSatについてF打ち上げビデオ、といった内容となりました。このような順にすることにより、一つの大学生活の例を示すことができたと思います。高校生が知りたいことは何か、ということを考えながら構成を考えました。

高校生の反響は思ったよりよかったです。すでにCubeSatを知っている生徒が2人いました。みんな真剣に聞いてくれて、とても興味を持ってくれているようでした。希望者のみを募るという形式をとったため、人数はそんなに多くはないものの、ほぼ全員が興味を示してくれました。それに講演後はたくさんの生徒が質問してくれました。その質問の中には技術的な質問もあり、発表資料では簡単にするためにその辺を省いたことをちょっと後悔もしました。

後輩の生徒たちが先輩の私に親近感を持ってくれたのも大きかったと思います。生徒にとっても、自分と全く関係のない大学生が来るよりも、同じ高校を卒業した先輩の方が接しやすいのだと思います。始めに来た生徒に、「ここを卒業したんですか?」と聞かれました。始めから関係のない人だと思われずに済みました。私としても、自分の母校に行くことによって、恩師の前で身が引き締まる思いにもなりますし、生徒にも親近感がわきました。

今回母校に行ったことにより、大学でのいろいろな活動について伝えられたことをとても嬉しく思います。生徒はその手でCubeSatを触り、CanSatを分解し、実際に触れたことによって新たな発見がたくさんあったと思います。この発見を与えることはどんな映像、画像、文字などによってもできないことです。そしてこのようなモノ作りの楽しさは、やってみること以外では実際にやっている人を見ることやその人と話したりすることによって伝わるのではないかと思います。高校生にとって、実際の大学生は身近にはいません。大学でのこういった学生の活動がどんなものか、あまり知らない生徒がたくさんいると思います。私が高校生の時も、それについて知りたくても聞く相手がいませんでした。高校で行われる大学の説明会では伝えられないものを伝えられると思います。

私自身にとっては、今回の訪問の準備として、高校の生徒に説明するために自分達の活動について再考する機会ができました。それはとても自分にとってプラスになりました。私達の活動を広めるということと高校生の考え方を知ることは未来へつながっていきます。アウトリーチは単なる研究発表や宣伝ではありません。相互に心を通じ合わせたうえでお互いの中に何か有益なものを生じさせるためのものだと思います。現場を知らない生徒達にそれを伝えることは、簡単なことではないと思います。

-母校訪問プログラム-
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