Q. 日米の学生プロジェクトがうまくいくための要因は
なんでしょうか。また障害になっているものがあるとすれば、それは何でしょうか。
日米の学生が他の国の学生より有利なのは、新しい技術が使える
ことだと思うよ。無線通信や低電力、高性能小型コントローラ、新バッテリ技術などは
CubeSatで使うのに理想的なんだよね。
アメリカで一番障害になっているのは、ITAR規制でロシアに
Cubeを輸出して打ち上げるのが難しいことだね。アメリカの打ち上げ機には特に
余裕があるんだけど、CubeSatのようなピギーバックに価値を見出す人が少ないんだ。
今後も打ち上げサイドとこの問題に取り組んでいくよ。
日本の大学はITARの問題がなくていいよね。でも日本のロケットで打ち上げることはまだできていないようだね。
CubeSatや何機かの小型衛星を打ち上げたい全大学にとって
の障害は、デブリ問題。こういう小型衛星をNORAD(衛星をトラッキングする機関)で
見つけるのは難しいんだ。
CubeSatの運用が終わったら軌道から投棄することが必要で、
これはCubeSat開発者にとっての最優先課題。高度650kmの軌道にいるCubeが
落ちてくるのに25〜50年もかかるからね。
CubeSatを軌道から投棄する方法は、まだ試されていないけど、
可能性として2つ知られているんだ。一つは伝導性テザー(宇宙用のひも)。
テザーでエネルギーを消散してCubeを落下させるんだ。二つ目の方法は
風船とかファンの形をした大面積のデバイスを広げて、大気抵抗を増加させて
1年もかけずに落下させるというものだ。
将来、打ち上げられるCubeSat全てに、こういったdeorbitデバイスを
設けないといけないというルールができると思うよ。
そして重要なことは・・・
世界規模でCubeSatプロジェクトが行うべきこととして、
設計や教訓の自由な交換、があると思うんだ。
僕らはいつもCubeに取り組む他大学の進捗に励まされているけど、
これは大学間だけじゃなくて、政府機関や産業界の航空宇宙機関の間でも
起きていることなんだだよ。
CubeSatで経験を積んだ新しいエンジニア世代が
もっと世界を意識し、情報を共有することを勧めていけば、
航空宇宙業界や宇宙ビジネス全体の利益になっていくと思うんだ。
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