東京大学大学院
Ø 中村 友哉 (なかむら ゆうや)
Ø 永井 将貴 (ながい まさき)
Ø 船瀬 龍 (ふなせ りゅう)
n 東京大学プロジェクト「地上局ネットワーク」「CUBESAT1,2」「ARLISS」「One Slot Pod」の報告、広報
n 「地上局ネットワーク」構築のための話し合い
n 「CUBESAT」プロジェクトの今後についての話し合い
n 九州大学率いるプロジェクト「QUEST」の進捗状況報告および、今後についての話し合い
n USSSにおいてあたらしいプロジェクトの模索、情報収集
n 地上局ネットワーク
地上局グループでは,日米間でネットワークを構築し,お互いの地上局を遠隔操作できる状態にして高頻度に衛星にアクセスできる環境を実現することを第一目標に掲げた。まずその実現に向けて,日本側が青写真を提示。SOAPを用いたネットワークの構築の具体的な説明,東工大のシステムを用いた簡単なデモを通して,アメリカ側にそのシンプルな構成と強固なセキュリティ,信頼あるシステムを理解してもらうことが出来た。
その上で,このシステムで日米間の調整をしていくことで合意。ここで問題となることは以下のとおり。SOAPを用いたネットワーク構築に関しては問題なしという意見で一致した。
l Time Sharingなど,リソースの問題
l ITAR(日本からアメリカの地上局を通して衛星を操作できない)
l これから地上局を構築していく際の技術的課題(主にアメリカ側)
まず,リソース問題については,日本側でも十分な論議がなされたわけではない。そこで,これは日米両国で継続審議ということになった。各大学が意見を出すということで一致している。
次にITARであるが,これが最大の問題である。法律問題は学生だけで同行できる問題ではないので,関係者を含めつつ議論する。North Dakotaが中心となって調査を行ない,結果を報告するということになった。
なおハワイ大学が現在地上局を構築中ということで,ここで日本側の提案するネットワークシステムを組み入れてもらうことにした。幸い12月にUNISECのワークショップが予定されているので,この場でアメリカ側から東工大の地上局を遠隔操作するデモを実行することで合意。現在これにむけて調整を行なっている最中である。
また3月に中須賀先生が訪米の予定であり,この際東大のCubeSatのEMクラスを持っていくことになっている。Santa ClaraとStanfordに訪問予定で,その際日本側から遠隔でアメリカの地上局を操作してそのCubeを動かすことになった。それまでにアメリカ側は地上局の構築をする必要がある。Santa Clara,Stanfordの現状を調査(Arizona担当)。
また,イギリスのSurrey大学が独自にネットワークを構築していることが判明。仲間に入るか,あるいは別に構築するかの判断が必要なため,調査をすることに決定。担当は日大。
以上の項目について詳細に論議が行なわれた。
n CUBESAT
CUBESATを開発中あるいは開発済みの大学が集まって、「CUBESAT community」の方向性について議論した。具体的には、
l 短期的目標:大学間での情報交換,一刻も早い打ち上げ機会の模索,CubeSatプロジェクトの宣伝
l 中期的目標:Launch Providerの設立,基本的な技術ミッション(通信,姿勢制御等)の運用
l 長期的目標:深宇宙ミッション(最も手始めは“月”)の遂行,デブリ問題への対策
についての議論を行った。
上記の議論とは別に、CUBESAT開発に関する技術的な話題も出、各大学の持つ技術について発表しあった。
早急にやるべき仕事として、
l 情報交換の場として、メーリングリスト・Webの設立を行うと共に、その存在を世界中のCubeSatプロジェクト参加大学に周知させる。
l Space Grantに働きかけ,CubeSatプロジェクトへの援助を求める.
事を決めた。
n QUEST
今後のスケジュール、各大学の責任の明確化、情報交換の方法の確認をおもに行った。
具体的には、東大の仕事として
1、9600bps通信機開発
2、TNC開発(今後の交渉しだいでは、ワシントン大学と共同で進める)
スケジュールとして
2003/3 通信機(1機)+TNC+モデム などの通信系モジュールを製作し、
4月にワシントン大学に送る。
2003/5 ワシントン大学でBBMを製作
2003/11 PM(プロトタイプ)モデルを各大学で製作。USSS2003の2、3日前に
ハワイに集合し、現地でインテグレーション
2004/11 USSS2004までにFMを製作、各種環境試験を行う
2005 打ち上げ
を取り決めた。
n フォーメーションフライング
今後、情報交換などを中心に共同で研究を進めていくという方針で話し合った。しかし、具体的にどのような情報をどのように共有し、共同実験をいかに行うかは話し合わなかった。今後、メールなどを中心に話し合う必要がある。しかし、東京大学としては、CUBESAT、CANSATプロジェクトを中心に進めているため、このプロジェクトに参加するだけの労力があるのかどうかは確信がない。場合によっては、簡単な情報交換だけにとどめ、プロジェクトに積極的に参加しないこともありうる。
n 永井 将貴
日本の大学だけでなく、アメリカの大学とも話し合いができたことは大きい。特に、地上局ネットワークでは、国土の広いアメリカと協力することで非常に大きな成果をもたらすことができる。一方で、共同で衛星を作ることの難しさも感じた。たとえば、QUESTでは、人やものの移動が必要なため、時間とコストがかかってしまう。このような不利益を受け入れてまで、協力する意味があるのかどうかは確信がもてなかった。