USSS参加報告書(個人の部)

東京工業大学 理工学研究科 機械宇宙システム専攻 松永研究室

 

参加者:

占部智之(M1),宮下直己(M2),立川智章(M1),柏宗孝(M1),尾曲邦之(B4),森田幾太郎(B4)

(以下,上記の順に個人報告書を記す.)

 

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◆氏名:占部 智之

 

◆参加目的:

東京工業大学松永研究室の代表として,学生主導宇宙開発プロジェクトの推進・発展を目指して日米の大学間での国際協力を行う本会議に参加した.特に小型衛星CubeSat開発プロジェクトの現状を把握し,今後の展開を議論する.

 

◆現地で自分がやったこと:

1.各大学での発表において>

東工大CubeSatのシステム・ミッション概要・開発の過程を説明し,特にUSSS2001以降に行ったPFM製作,振動試験について発表した.

 

2CubeSatグループにおけるディスカッション>

 PCを持っていたこともあり,ディスカッションをしながら,その内容を資料に整理し,発表用のPowerPointの一部を作成した.ディスカッションしていく中で以下の項目の決定に立ち会った.

     短期的には,大学間での情報交換,一刻も早い打ち上げ機会の模索,CubeSatプロジェクトの宣伝を目標とする.

     中期的には,Launch Providerの設立,基本的な技術ミッション(通信,姿勢制御等)の運用を目標とする.

     長期的には,深宇宙ミッション(最も手始めは“月”)の遂行,デブリ問題の対策を目標とする.

     情報交換の場として,メーリングリスト・Webの設立を行うと共に,その存在を世界中のCubeSatプロジェクト参加大学に周知させる.

     Space Grantに働きかけ,CubeSatプロジェクトへの援助を求める.

 

3CubeSatグループの最終発表>

グループごとの議論内容の最終発表を行った.

 

◆感想:

ディスカッショングループに成り得るプロジェクト;CubeSatARLISSGS等に関しては,事前に日本の大学間でディスカッションの内容をある程度考えておく必要性を感じた.(本当はUNISECのように参加大学全体でやるべきかもしれないが,それはおそらく大変であろう.)とにかく今回に関しては個人的な準備不足もあり,焦点のない議論になってしまった事を残念に思う.個人にせよ,参加大学内にせよ,発表のみならずディスカッションテーマに関する前準備は欠かせないと痛感した.

最後に,会議が終わった後の学生間の交流が,これまでにないくらい充実していた事は非常に良かったと思う.

 

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◆氏名:宮下 直己

 

◆参加目的:

昨年度のUSSSから1年間行ってきた地上局開発に関する発表と,地上局ネットワーク構築に関する諸問題を大学間で協議するため.

 

     現地で自分がやったこと:

東工大のプレゼンテーションにおいて地上局ネットワークについて発表した.分科会においては地上局ネットワークのセッションに参加し,日本側が提案しているプロトコルの紹介・デモ,法律問題,来年のUSSSまでのスケジュールなどを話しあった.

 

     感想:

USSS2000に参加したが,それに比べ本年度は日米の大学生が非常に打ち解け楽しかった.これは,レセプションパーティのアームレスリングが良かったのだと思われる.来年度以降もレセプションパーティで打ち解けることができれば,議論なども盛り上がり良いのではないかと思った.各分科会では,英語で苦労したものの,最終的には日本側が提案したプロトコルの説明や,各問題点の列挙,タスク分担,スケジュールなどの議論が行えた.USSSを通して,国を超えた友達もでき非常に有意義のあるシンポジウムであった.

 

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◆氏名:立川 智章

 

◆現地で自分がやったこと:

l         現地での発表について

ARLISSの発表を担当し,特に本年度のOpenClassRoverの発表を行った.OpenClassRoverのミッション概要,システム構成を説明し,システム構成では特にOBCの新規開発であるSH3について触れた.打ち上げ前実験VTRを用いて,OpenClassRover共にすべてのシステムの動作を確認していたことを述べ,最後に実験結果を報告した.

 

l         グループセッションについて

 現地での話し合いにより,Rover Teleoperationに参加することになった.本セッションの参加大学は,

²        東京工業大学 1名(Tomoaki Tatsukawa

²        東北大学   2名(Genya Ishigami, Takeshi Maruki

²        Santa Clara Univ.  1名(Mike Rasay

²        Hawaii Univ.  2名(Jason Akagi, Tep Dozny

6名であった.

 1日目のディスカッションでは,Roverの一般的な話し合いとなった.その中で,東北大学から災害時の人命救助Roverの話が出,そのRoverを軸に話し合いが行われた.1日目は大学間でのコラボレーションについて具体的な話は出なかった.

 2日目のディスカッションでは,まずSanta Clara Univ.Teleoperationのクライアントソフトのデモ(1台のPC上でRoverの模擬したサーバーソフトを立ち上げ,クライアントソフトからのデータ受信を行っていた)を行い,これを用いて実験をしようということで話し合いが進んだ.

 

l         ディスカッション結果

 話し合いの結果,以下のことが決められた.

 ~2002/12   Santa Clara Univ.からクライアントソフトを配布する

 2003/2 or 3 東工大,東北大,Hawaii Univ.からSanta Clara Univ.Roverを操作する遠隔操作実験を行う.

 2003/4     Santa Clara Univ.にてミーティングを行う.

 中期的にはRoverの操作に用いるプロトコルの決定,統一的に操作を行えるインターフェースを作成することが目標である.長期的な目標について話し合われず,続けていくことが重要であることを確認して終了した.

 

◆感想:

 Rover Teleoperationでの話し合いの結果,東工大側ですぐに始めるべきタスクは発生しなかったが,来年度の実験に向けて,Rover Teleoperationに関する情報を集めて整理しておく必要があると感じた.本来はUSSSに望むときにそういった情報は集めておくべきであったが,現地で参加を決めたため,東工大としては全く予備知識のない状態となり,ディスカッションで聞き側に回ってしまったことは否めない.やはり,参加する以上は何かこちらから出すものが必要であると感じた.そうでないと,プロジェクトのコラボレーションなどの話し合いまで持っていくことは難しいだろう.ただ,東北大,Hawaii Univ.もほぼ同様の状態であり,Santa Clara Univ.が唯一,事前準備をしてきていた.こういった各大学の準備不足はUSSS全体の結果の中身に大きな影響を与えるのではないだろうか.

 USSS全体としては,日米の大学の学生と交流でき,個人としては非常に有意義な時間を過ごせたと思う.

 

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◆氏名:柏 宗孝

 

     参加目的:

まず,一つ目に東工大松永研究室で現在進めているプロジェクトの一つである超小型衛星用分離機構についての発表を行うため.二つ目の目的は,USSSの会議に集まる日米の大学の学生と親交を交わし,技術情報を交換することである.さらに,最終的には大学の垣根を越えたプロジェクトの共同開発を目的としている.

 

     現地で自分がやったこと:

東工大の発表において,CUTE-I用衛星分離機構についての発表を行った.また,3日目からの話合いでは,ARLISS CanSatプロジェクトの話合いに参加し,新規参加大学へのルールの説明と基本的な機能の紹介を行った.さらに,各大学からの要請として出されたルールの改善案について話し合った.

 

     感想:

日本側からの参加学生はほとんどが顔馴染みで,しかも発表したパワーポイントの内容についてもそれほど目新しいものはなかった.しかし,アメリカの大学の発表を聞く機会というものがほとんどなかったため,各アメリカの大学の発表を聞くことができたことは,まずよかった点の一つである.さらに,発表後のディスカッションでも英語が通じなくて四苦八苦したものの,最終的にはいくかの決定事項としてまとめ上げることができたのは良かったと言える.また,会議中はハワイ大学の寮のような部屋ところに宿泊することができたのもアメリカの学生の生活を知ることができて,良い経験であった.

 

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◆氏名:尾曲 邦之

 

◆参加目的:

・松永研,および東工大基礎物理学専攻の河合研が共同で進めているガンマ線バースト観測衛星についての報告を行う.

・興味を示す大学があれば,その大学の協力を得て,実現の可能性をさらに高める.

 

◆現地で自分がやったこと

・ガンマ線バースト観測衛星の開発状況について,その報告を行った.2002年の衛星設計コンテストにおいて本衛星を発表したため,日本側の大学にはすでに紹介済みであるが,単なる設計に留めず,実際に製作する意思があることを示すことになった.アメリカの大学に対しては全くはじめての紹介となった.しかし,もうひとつの目的である,他大学との連携については実現しなかった.

GSNプロジェクトに参加し,日本側ですでに決定してあるプロトコルSOAPをアメリカ側に紹介し,日米間でもこのプロトコルを利用することを決定した.

・フォーメーションフライングに参加し,東工大地上実験設備を利用した実験を募集した.これに対し,ジョージア工科大学が設備を利用することを決定した.

 

◆感想,意見

・ガンマ線バースト観測衛星のセッションが,GSNの一部として成立した.しかし,実際には全員がGSNとして参加したため,このセッションは成立しなかった.個人的な反省としては,このプロジェクトは時期尚早であると感じた.もう少し具体的な計画をたててから発表すべきであった.そうすれば,当日セッションが不成立で,参加すべきセッションをその場であちこち探し回らずに済んだし,事前準備も行えるはずだった.

・この点に関して,事前に話し合うべきセッションを選考してもらえると非常に助かると思った.ガンマ線バースト観測衛星や,ISSを利用した実験などの,当日参加者が一人も出ずに不成立となったものは,どれも具体性に欠けるもので,このようなものを事前に不成立として通知して欲しいのである.

・しかし,多くの大学は,すでにどの参加者をどのセッションに加えるかを事前に決定してきており,このような処置はかえって手間をとるだけとなるかもしれない.

・とにかく,英語を話せない者として,事前準備も無く英語で話し合いをするのは難しいと思った.まずは,「英語で話し合いをしにいく.」という認識をもち,通常の会話ができる程度の英語力は最低限身につけていくべきである.今回に関しては,その点の認識不足であったと反省している.

 

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◆氏名:森田 幾太郎

 

◆参加目的:

東京工業大学松永研究室の代表の1人として,ARLISS2002でのCanSatについて発表するため参加した.また,現地で行われるグループセッションに参加し,技術的な情報の交換を行うとともに日米間の大学の交流を深め,国際的な共同プロジェクトを立ち上げていくことを大きな目標として,参加した.

 

◆現地で行ったこと:

(1)各大学の発表で

今年2002年のARLISS実験でCanSatの概要と打ち上げ結果について発表した.

 

(2)グループディスカッション

発表内容とは異なるが人数の関係で,フォーメーションフライングのセッションに参加した.このセッションには、東工大・東大・Georgia Tech.UND(North Dakota)が参加しており,UNDは学生ではなく先生が参加されていた.

フォーメーションフライングを用いた衛星は,理論的な研究は進んでいるが実際の衛星として打ちあがったものは,まだない.そこで,地上実験設備を活かして,実際の衛星の打ち上げに持っていこう,という流れとなった.

具体的には,以下の様な内容について,情報交換や議論が行われた.

・東工大が開発した衛星シミュレーション用の地上実験設備の説明

Georgia Tech.は,Prof. SinghoseInputShaping理論を適用した振動制御について説明

・東大が行っているフォーメーションフライングの研究

・ノースダコタが行っているフォーメーションフライングのけんきゅうについて

・短期目標は,各大学が進めているフォーメーションフライングの研究をすすめる.その過程で,情報を共有し,その後の共同研究・プロジェクトへの道筋を作る.

・短期目標のうち,東工大とGeorgia Tech.は,引き続き地上実験設備を利用した共同実験を行っていく

・短期目標のうち,東大とUNDは,シミュレーションを進める

・中期目標として,シミュレーション結果と地上実験の結果を比較検討する.

・長期目標として,フォーメーションフライングの実験を行う技術試験衛星の開発を目指す.

 

(3)発表

 PCを持っていた関係で,最終発表の原稿を書くことになった.内容については,セッションのリーダーなどと相談しながら検討していった.発表については,グループ内で担当部分を決めて各自交代で行った.

 

◆感想:

 自分自身に関して言えば,準備不足であったというのが感想である.発表資料に関しては準備をしていったため,それなりの結果を出せたと思うが,特にグループセッションでは,技術情報を交換するのに苦労した.英語でのコミュニケーションで不自由をしないというのであれば,発表資料を準備して,後は議論というのでも全く構わないと思う.しかし,苦手とするのであれば,議論しようという内容に関して,入念な準備をして,英語でのコミュニケーションという点から充分な知識をつけておくことは,是非しておくべきであったと反省している.ただし,どのようなセッションが開かれるかは,各大学の発表が終わるまで予測できないため,これは,非常に難しいことだとは思う.

また,今回は,新しく参加する大学がいたので,CubeARLISSのようなセッションではどのようなことをやっているかの説明をしたとのことだった.限られたディスカッション時間を有効に使うためには,開くのが予想されるセッションに関しては,事前に新しく参加する大学に情報提供が出来るような方法があるとよいのかもしれないと感じた.

最後に,今回初参加のため,例年の雰囲気などはわからないが,日米間の大学の交流という点では,充分に目的を達成できた会議であったと思う.

 

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以上,東京工業大学のUSSS参加報告書(個人)をまとめた.