第三章 カルポリ訪問 語り手:澤田 弘崇 (さわだ・ひろたか)
「カルポリ」というのは、California Polytechnic State Universityのことで、P-PODを作ることになっていた大学でした。P-PODというのは、カルポリが作ることになっていた分離機構のことで、キューブサットを3ついっしょに入れて打ち上げて、軌道で放出することになっていました。そこに、2001年の8月に行ってきました。
ちょうど、ユタで、小型衛星のシンポジウムがあったので、参加することにしました。発表ではなくて、勉強しにいったという感じです。ちょうどその一週間後くらいに、ネバダ州でARLISS(カンサット打ち上げ実証実験)があったので、ついでに、ということでした。東大の津田さんと酒匂さんが行くというので、自分も同じ旅程で移動することにしました。ユタからロスへ行って、そこから現地まで車で移動する途中にカルポリがあるので、寄ることにしたんです。ロスからARLISSの砂漠までは、さすがに遠かったです。カルポリに午前中に着いて、昼過ぎに出て、ファンレーという砂漠の町についたのが、夜11時をまわっていました。カルポリには2,3時間いただけだったと思います。
カルポリが分離機構を作るというのは、もうずっと前から決まっていました。冗談みたいな話なんですが、いつでも、「いま発注したから、あと数週間でできる」というメールがくるんです。ええ、数ヶ月にわたって、「あと数週間」なんです。打ち上げロケットもあやふやだったし、分離機構もできてこないし、先が見えない中で、キューブサットは開発していました。
カルポリには午前中につきました。向こうの先生が対応してくれて、P-PODの設計図を見せてもらいました。ProEという三次元の設計ソフトを使って設計してありました。設計図を見た感じではちゃんとできているんですが、「発注したからあと数週間」と、またまた同じことを言われました。このとき、「テストポッドをすぐに送るから」と言われたんですが、実際に送られてきたのは、かなり後、確か一年後くらいだったと思います。
あまり時間がなかったんですが、車庫みたいなところに案内されて、「ここにクリーンルームを作って、熱真空チャンバーを持ってきます」と説明されました。ほこりだらけのところでした。「ここをキューブサットを詰める作業場にします」と言われても、あまりピンときませんでした。
でも、カルポリに行ったので、収穫もありました。CAD上のデータはもらえましたから、中の寸法を測ることができたんです。みたところ、必要以上にごつく作ってあるなあと思いました。自分は、けっこう見た目も大事にする方なので、もう少し軽やかにできないもんだろうかなどと思いました。
カルポリは、なかなかモノを作ってこなかったんですが、担当している学生が2,3人で、P-PODを設計した学生は、卒業を控えていて、人員不足のように見えました。学生の入れ替わりのサイクルが早いと、開発も大変だろうと思いました。
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