能代宇宙イベント第13回 能代宇宙イベント

2017-09-01
文責:イベント代表 中村靖子

第13回能代宇宙イベントが2017年8月14日から24日にかけて開催された。

目次

  1. 概要
  2. 全体スケジュール
  3. 会場準備
  4. 技術交流会
  5. 開会式・懇親会
  6. 一般公開日
  7. CanSat競技
  8. ハイブリッドロケット共同打上実験
  9. 各表彰結果

概要

今年度は“初”が付けられる試みが多く創出された大会となった。
その例として、一般公開日における高高度水ロケットの公開打上げ、海外チームとの技術交流などが挙げられる。
また、CanSat競技ではタイプエス社様ご提供のドローンによるCanSat投下実験を初導入し、ハイブリッドロケット競技では陸打ち実験と海打ちリハーサルのパラレル運用を実施するなど、運用面においても進化が見られる大会となった。
大会期間中は一時的な雨天に見舞われたこともあったが、おおむね天候に恵まれ、全競技・実験を大きな遅延・中止なく実施することができた。
また今大会は、開催地である能代市の能代市地域おこし協力隊様の企画で、これまでの能代市民の皆様と参加学生との想いを表現する企画展『ソラボとソラガの8日間』が開催され、能代市民の皆様との繋がりも強く実感できる大会となった。
企業賞については、Tシャツコンテストにおいて新たにリコーITソリューションズ社様から企業賞を設けていただいた。
また昨年に引き続き、CanSat競技ミッション部門においてタイプエス社様から、ハイブリッドロケット打ち上げにおいてインターステラテクノロジズ社様、三菱重工業株式会社様から、企業賞を設けていただいた。

全体スケジュール

年々長期化しつつあったイベント期間に対し、今大会ではできる限り短縮化できるようCanSat競技におけるドローン初導入、ハイブリッドロケット陸打ちと海打ちリハーサルの同日運用など、競技運用面において新な体制を取り入れた。
結果として、イベント期間は昨年より短縮化しつつも、内容は非常に濃いものとなった。
一般公開日は例年通り日曜日に開催し、大学生による体験型コンテンツや高高度水ロケットの打上げで、非常に盛り上がった。

日程 内容
8月17日(木) CanSat競技1日目/ハイブリッドロケット陸打ち実験リハーサル
8月18日(金) CanSat競技2日目/ハイブリッドロケット陸打ち実験/海岸清掃/ハイブリッドロケット海打ちリハーサル/技術交流会(ロケット)
8月19日(土) 開会式/CanSat競技3日目/ハイブリッドロケット海打ちリハーサル/大懇親会
8月20日(日) <一般公開日>
体験型コンテンツ/高高度水ロケット公開打上げ/秋田県中学生モデルロケット大会/ステージイベント/銀河フェスティバル/大型モデルロケット打上げ 等
技術交流会(CanSat)
8月21日(月)
~24日(木)
ハイブリッドロケット海打ち実験/海打ち懇親会(8月23日(水))

会場準備

会場準備は2日前の8月15日から開始した。
イベント会場となる第三鉱滓堆積場では、イベントで使用する物品の搬入やテント・バルーン等の準備を行った。
ロケット陸打ち射点では、昨年度から運用が始まっている共有ランチャの設置が行われた。
今年度は準備日の朝に、CanSat・ロケット団体双方が集まり、全員で意気込みを統一する朝会を行った。
ハイブリッドロケット打上実験では、今年度から団体依存ではないUNISONプロジェクト保有の共有ランチャ2台での運用を行った。
16日に共有ランチャ2号機を陸打ち会場、1号機を海打ち会場にて設営し、18日は陸打ち実験と並行して海打ちリハーサルを実施した。


会場設営の様子 / 海打ち会場でのランチャ設営

技術交流会

8月18、20日にはハイブリットロケット・CanSatの技術交流会がそれぞれ実施された。
技術交流会では、競技・実験に参加する団体が集まり、各々の秘術紹介や意見交換などを行い、横のつながりを広げられる場となった。
また、あきた白神農業協同組合様より参加学生全員へ、協賛品としてあきたこまちミニパックが配られ、参加者から喜びの声が多数上がった。


技術交流会の様子

開会式・懇親会

8月19日の朝、開会式を行った。
開会式では、能代宇宙イベント開催に当たり多大なるご協力をいただいている来賓の方々から参加学生に向け、期間中の実験に対する激励や宇宙開発に対する意気込み、地域の方々のイベントに対する思いを伝えていただきました。
また、同日夜には大懇親会を行い、CanSat競技の表彰や企画展『ソラボとソラガの8日間』の表彰が行われた。


開会式 / 開会セレモニー

大懇親会での表彰式

一般公開日

8月20日には能代宇宙イベントのメインイベントである一般公開を行った。
イベント会場では昨年に引き続き、参加団体による体験型コンテンツや高高度水ロケットの打上げなどを実施した。
Tシャツコンテストでは今年度から、リコーITソリューションズ様より企業賞を設けていただき、より一層の盛り上がりを見せた。
また今年度は、のしろ銀河フェスティバルとの同時開催ということもあり、例年以上に宇宙を身近に感じていただけるイベントなった。
学生企画のコンテンツ以外に、のしろ市民オーケストラ『能代超新星ポップスオーケストラ』様による演奏やダースベーダ―の登場が会場を沸かせた。


一般公開日の様子
<(左上)『能代超新星ポップスオーケストラ』様による生演奏
(左下)突如現れたダースベーダ―たち
(右)高高度水ロケット分離の瞬間>

CanSat競技

CanSat競技とは各チームで製作した小型模擬人工衛星(CanSat)を気球やドローンで上げ、上空からCanSatを落とし各自で設定したミッションを行う。
今年度の実験では予定通り17~19日の3日間で競技を実施した。
今大会のCanSat競技では初の試みとして,ミッション部門の実験でドローンを用いた投下実験を導入し、実験運営の円滑化や実験運営の負担軽減を図った。
今年度も昨年と同様に多くの参加団体数(43チーム)のエントリーがあった。
「気球を2つ用いた実験」、「ドローン投下実験の試験的導入」の結果、全チームが最低2回の投下を行うことができ、効率よく競技を進めることができた。
CanSat競技にはランバック・フライバック・ミッションの3部門がある。
ランバック部門とは気球から投下した着地後にゴールを目指すものであり、自律走行後のゴールまでの距離を競うものである。
次にフライバック部門とは気球から投下後、空中で進行方向を制御しゴールを目指すもので、これもランバックと同じく着地地点からゴールまでの距離を競うものである。
最後にミッション部門とは気球やドローンから投下し、各自で落下中や着地後に行うミッションを設定し、そのミッションの面白さや達成度を競うものである。


気球・ドローンによる投下実験

CanSat競技の結果は以下の通りである。

フライバック部門
優勝 静岡大学SATTフライバックチーム 40m
(2位以下該当なし)
ランバック部門
優勝 東京大学 中須賀・船瀬研究室 THE-O 0m(ゴール)
準優勝 愛知工科大学 斎藤研究室 SuperNOVA 24m
3位 SOMESAT ZUNDA 35m
ミッション部門
タイプエス賞 優勝 首都大学東京 宇宙システム研究所 FRY
タイプエス賞 準優勝 東京農工大学 宇宙工学研究部-Lightus- Team S.S.Y.H
タイプエス賞 3位 慶応義塾大学 高橋研究室 Keio Team Wolve’Z
能代CanSat大賞 電気通信大学 高玉研究室 マルチーズ

ハイブリッドロケット共同打上実験

イベント期間中の8月17日から19日に第三鉱滓堆積場にて、21日から24日にかけて旧落合浜海水浴場にてハイブリッドロケットの打ち上げ実験を行った。
能代宇宙イベントでは陸上打ち上げ-陸上回収の陸打ちと陸上から海に向けて打ち上げを行う海打ちの2部門があり、今年度は陸打ち1機、海打ち6機、計7機-全国から6団体の学生が集まった打ち上げ実験となった。
これらに加え、今年度はソーシャル・メディア衛星開発プロジェクト(SOMESAT)による水ロケットの打上実験も実施し、ハイブリッドロケットの運営チームが審査・運営にあたった.以下に参加団体を示す。

参加団体一覧 ※順不同
1 東海大学チャレンジセンター学生プロジェクト(TSRP)
2 ソーシャル・メディア衛星開発プロジェクト(SOMESAT)
3 秋田大学学生宇宙プロジェクト(ASSP)
4 東北大学FROM THE EARTH(F,T,E,)
5 筑波大学宇宙技術プロジェクト(STEP)
6 CORE(関東インカレサークル) Aチーム・Bチーム
7 九州大学 PLANET-Q(PQ)

ハイブリットロケットの打上では、陸海合わせて全7機のうち6機が打ち上げを行った。
また、SOMESATによる高高度水ロケットの打上げは一般公開日に二度行い,それぞれが無事に実験を終えた。
今年度も三菱重工業株式会社様よりMHIアワードを、インターステラテクノロジズ社様よりISTアワードを設けていただき、各団体が受賞に向けて奮闘した。
今年度は九州大学PLANET-Qが、打上時のシーケンス運用や打ち上げ結果を評価され、両賞とも受賞した。
また、IST賞(アイデア賞)として高高度水ロケットを打ち上げたSOMESATが受賞した。
今年度の打上実験では陸打ちと海打ちリハーサルを一部並行して進めることで、以前からの課題であった実験期間の長さを短縮することに成功した。
また、各団体が実験準備を分担することで円滑に実験を行うことができ、共同実験の名にふさわしい形で実験を進めることができていたと感じる。
加えて、今年度は韓国の大学のチームからの参加希望もあった。
残念ながら参加は叶わなかったものの、実験期間中は見学に訪れ国境を越えた交流を行うことができた。
次年度以降の打上実験で、大学や国関係なく幅広く学生が交流し協力する形を築かれていくことを期待する。


<(左)海打ちリハーサルの様子、(右上)韓国チームによる団体発表(ロケット技術交流会)、(右下)MHI賞受賞式>

各表彰結果

今大会では、各部門で設けられた企業賞の他にも多数の賞が設けられた。ここでそれらの受賞結果を示す。

慶應義塾大学 高橋研究室 Wolve’Z

市民ポスター展(日本航空宇宙学会北部支部協賛イベント)
最優秀賞 電気通信大学 高玉研究室 マルチーズ
優秀賞
優秀賞 秋田大学学生宇宙プロジェクト ASSP
Tシャツコンテスト
第1位(RICOH賞) 東北大学 FROM THE EARTH
第2位 東海大学学生ロケットプロジェクト TSRP
第3位 CORE
NSE13フォトコンテスト
第1位 SOMESAT
第2位 九州大学 PLANET-Q
第3位 九州大学 PLANET-Q